【論文解説】中等度大動脈弁狭窄症における病期分類と圧格差の不一致【論文解説】

Prevalence and Prognostic Implications of Discordant Grading and Flow-Gradient Patterns in Moderate Aortic Stenosis
J Am Coll Cardiol. 2022 Aug 16;80(7):666-676.

重症大動脈弁狭窄症(AS)におけるDiscordant gradingの予後への影響はよく知られています。しかし、中等度ASにおけるDiscordant grading(大動脈弁口面積>1.0かつ≦1. 5cm2以下だが、mPG 20mmHg未満)の有病率とその予後への影響は明らかではありません。 そこで、今回取り上げた論文では、中等度AS患者におけるDiscordant gradingの頻度と、予後への影響を調査しています。
中等度AS患者(大動脈弁面積>1.0かつ≦1. 5cm2以下)の患者を同定し、平均圧較差20mmHg未満をDiscordant群に分類。この中でSVi、LVEFに基づいて以下のように分類されています。

・Concordant(平均圧較差≧20mmHg)
・Discordant(平均圧較差<20mmHg)
 :Normal-flow, low-gradient(平均圧較差<20mmHg、SVi≧35mL/m2、LVEF≧50%)
  Paradoxical low-flow, low-gradient (平均圧較差<20mmHg、SVi<35mL/m2、LVEF≧50%)
  Classical low-flow, low-gradient(平均圧較差<20mmHg、LVEF<50%)
主要エンドポイントは全死亡です。

中等度AS患者1,974人(年齢73±10歳、男性51%)のうち、788人(40%)がDiscordantであり、これらの患者はConcordantよりも死亡率が有意に高い結果でした(P < 0.001)。特に、Classical ・Paradoxicalの順にイベントが多い結果で、多変量解析ではParadoxical(HR:1.458;95%CI:1.072-1.983;P=0.014)およびClassical (HR:1.710;95%CI:1.270-2.303;P<0.001)パターンが全死亡と独立して関連していました。
結論としては中等度AS患者ではDiscordantが40%に観察され、死亡率の上昇と関連していました。

発表後の議論として
・SVI低下の重要性
・SVI低下を規定する因子は何か?
・当院重症AS症例に当てはめての解析結果の共有

                              発表:鍋嶋先生   文責:吉岡

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