【論文解説】感染性心内膜炎の内服治療:海外での実情は?The Danish POETry study【論文解説】

Clinical implementation of partial oral treatment in infective endocarditis: the Danish POETry study
Eur Heart J. 2023 Dec 21;44(48):5095-5106.

先行研究であるPartial Oral Treatment of Endocarditis(POET)試験では、感染性心内膜炎(IE)の安定化した患者を、経口治療(PO)群と従来の抗生剤静脈内継続投与(IV)群に無作為に割り付け、6ヵ月後の非劣性が示されています。本研究では、経口レジメンが、実臨床・リアルワールドでどのように施行されているか検討されています。

結果ですが、562名のIE患者[年齢中央値74歳(IQR、四分位範囲65-80)、70%男性]のうち、240名(43%)にPO投与、322名(57%)に静脈内投与が行われています。静脈内投与群では、黄色ブドウ球菌によるIE、心内膿瘍、ペースメーカーを有する患者が多く、外科的治療を受けた患者が多い結果でした。主要転帰はPO群では30例(13%)、静脈内投与群では59例(18%)で発生しています(P = 0.051)。PO群では20例(8%)が死亡し、静脈内投与群では46例(14%)が死亡しています(P = 0.024)。PO治療を受けた患者では、入院期間中央値がより短い結果でした[PO群24日(IQR 17-36) vs IV群43日(IQR 32-51)、P < 0.001]。

本研究では、POETレジメンの導入後、IE症例のほぼ半数が経口ステップダウン抗生剤治療を受けたことが明らかになりました。また、6ヵ月後の追跡調査では、経口投与群では主要転帰の発生率が低く、全死因死亡率が低く、入院期間が短かった。一方で、観察研究であるため、静脈内投与群の患者には重大な予後不良因子が多い傾向で、背景が異なる可能性もあります。死亡率の低下はある程度選択バイアスや測定不能な交絡を反映している可能性がありますが、デンマークの実臨床において、POレジメンの臨床的効果・安全性が示されたと結論づけています。

発表後は、以下の内容で検討が為されています。

・使用されている内服抗生剤に関して
・点滴から内服への移行がもたらす、入院期間短縮は可能か。

発表者 坂井先生     文責 吉岡

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