【論文解説】肥満を伴うHFpEFに対するセマグリチドの効果は?【論文解説】

今回の抄読会では、肥満を伴うHFpEF(EFが維持された心不全)に対するセマグリチドの効果を検討したNEJM誌の論文が取り上げられました。駆出率が維持された心不全は有病率が増加しており、特に肥満者において症状が問題となります。しかし、肥満に関連したHFpEFへの薬剤による効果を検討した研究は限られています。

方法

HFpEF症例で、BMIが30以上の患者529例を、週1回セマグルチド(2.4mg)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付け、52週間追跡されています。主要エンドポイントは、KCCQ-CSSと体重のベースラインからの変化です。副次的エンドポイントには、6分間歩行距離の変化、死亡、心不全イベント、KCCQ-CSSと6分間歩行距離の変化の差を含む複合エンドポイント、C反応性蛋白(CRP)値の変化が含まれています。

結果

KCCQ-CSSの平均変化率はセマグルチド群で16.6ポイント、プラセボ群で8.7ポイント(95%信頼区間[CI]、4.8~10.9;P<0.001)、体重の平均変化率はセマグルチド群で-13.3%、プラセボ群で-2.6%(推定差、-10.7%ポイント;95%CI、-11.9~-9.4;P<0.001)でした。6分間歩行距離の平均変化は、セマグルチドで21.5m、プラセボで1.2m(95%CI、8.6~32.1;P<0.001)。複合エンドポイントの解析でも、セマグルチドはプラセボよりも高いwin ratioでした(勝率、1.72;95%CI、1.37~2.15;P<0.001)。CRP値の平均変化率は、セマグルチドで-43.5%、プラセボで-7.3%でした(推定治療比、0.61;95%CI、0.51~0.72;P<0.001)。

結論

本研究の結論としては、肥満のあるHFpEF患者において、セマグルチド(2.4mg)による治療は、プラセボと比較して、症状・運動機能の改善、有意な体重減少をもたらしたとされています。

発表後の検討として、以下のような内容で検討を行っています

・非肥満症例での効果は
・他の薬剤での効果はどうなのか

                     発表:平井先生     文責:吉岡

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