【論文解説】ミトコンドリアの機能不全と心血管疾患の関与について:Cell誌の総論より【論文解説】

Cellular Senescence, Mitochondrial Dysfunction, and Their Link to Cardiovascular Disease
Cells. 2024 Feb 17;13(4):353.

心血管疾患(CVD)は、世界的な主要死因であり、患者のQOLや身体障害に多大な影響を及ぼしています。世界保健機関(WHO)によると、CVDは毎年推定1790万人の命を奪っています。今後数十年の間に、動脈硬化、冠動脈狭窄、心筋梗塞(MI)、心臓弁膜症、心不全(HF)などの加齢に伴うCVDの有病率が増加し、世界の平均寿命が延び、その結果、世界の人口が高齢化し続けるため、健康上・経済上の負担がさらに大きくなることが予想さています。このようなCVDの増加を考慮すると、CVDの根底にある基本的なメカニズムの解明に研究を進めることが重要となります。本総説では、CVDの一因として古くから確立されている細胞老化とミトコンドリア機能障害に焦点を当てています。

ミトコンドリアは、細胞中のエネルギー経路に大きく関わっています。このミトコンドリアの機能不全が起こることで、膜電位低下やmtDNAが損傷します。また、ミトコンドリア外膜の透過性が亢進し、シロクロムCを放出します、その結果、抗アポトーシス作用が活性化し、細胞老化へつながっていきます。老化細胞でのmtDNAの蓄積が炎症メディエーター・SASPの転写因子のスイッチをオンにし、線維化・心血管疾患を引きおこすとされています。

細胞老化に対する治療として、以下のような薬物が報告されています。
・メトホルミン(通常容量よりも高容量)
・コエンザイム
・ミトキノン

ミトコンドリア機能異常とCVDに関しては、基本的なメカニズムの解明、さらには治療ターゲットにつながることが期待されます。

発表後の討議として、以下の内容が話し合われました。
・ミトコンドリア機能に関して
・mtDNAの定量に関して
・その臨床応用に関して

                 発表 高橋先生  文責 吉岡

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