【論文解説】CHIPについて:レビュー論文

Clonal hematopoiesis of indeterminate potential (CHIP): Linking somatic mutations, hematopoiesis, chronic inflammation and cardiovascular disease
Christopher S. Marnell, Alexander Bick, Pradeep Natarajan
Journal of Molecular and Cellular Cardiology 161 (2021) 98–105

CHIP(clonal hematopoiesis of indeterminate potential)とは、造血幹細胞の遺伝子変異の結果、クローン的に増殖した造血幹細胞が存在する状態で、白血病等のリスクと関連。加齢や肥満・炎症性疾患との関与が指摘されている。
CHIPの定義として、造血器腫瘍の診断を満たさないものだが、前がん状態と思われる変化とされている一方で, 高血圧や喫煙などの古典的リスクとは独立して心血管イベントとのリスクも報告されている。
過去の報告では、CHIPを有する症例では、その後の造血器腫瘍発症が多いことも示されている。
マウスやヒトの検討で、炎症性マーカーとCHIPとの評価もなされ、これまで解明されているCHIPに関して、それぞれのCHIPに関連する因子や、関連する疾患に関して記載がなされている。幹細胞老化の分野においては、今後の臨床応用が期待される。

CHIPに関する本レビューの中で、
・疾患リスクを軽減するための予防や治療介入が必要なのか
・どのような患者群で、CHIPの評価が有用なのか
・その病態生理の解明
等が、更なるCHIPの広がりのために必要であるとされている。

発表後に、以下のポイントに関して議論を行なった

・費用的な問題
・現在行われている全ゲノム解析でも可能なのか
・CHIPの発生について
・血液疾患と炎症、循環器疾患との関連について

発表者 鶴田先生  文責 吉岡

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