【論文解説】構造的心疾患(SHD)手技中の心エコー技師の放射線被曝について

今回は、構造的心疾患(SHD)手技中の心エコー技師の体表面における放射線被曝に関する論文を取り上げています。

本研究では、経食道心エコー法を行う心エコー技師の体表面における放射線被曝を、コンピュータシミュレーションとSHD手技中の放射線被曝の実測により推定し、可視化しています。方法として、心エコー技師の体表面における放射線の吸収線量分布を明らかにするために、モンテカルロシミュレーションを行っています。
79件の連続した手技(僧帽弁の経カテーテル的エッジ・トゥ・エッジ修復術44件、経カテーテル的大動脈弁置換術[TAVR]35件)における実際の被曝線量を測定。

シミュレーションの結果、患者ベッドの下からの散乱放射線により、すべての透視方向において右半身、特に腰部と下半身に高線量被曝領域(20μGy/h以上)が認められました。

実際の被曝線量の測定結果は、
胸部よりも腰部で被曝量が多い
 経カテーテル的edge-to-edge修復手技 > TAVR
 自己拡張弁を用いたTAVR > バルーン拡張弁を用いたTAVR →腰部被曝が多い

研究のLimitationとして
・単施設の検討である点
・TAVIに関しては局所麻酔・TEEでは結果が異なる可能性

本論文の結論としては、以下のような点が記載されていました。
・SHD手技中、インターベンショナル心エコー技師の右腰部と下半身は高線量に被曝。
・心エコー技師、特に若い女性は、これらの手技中の放射線被曝について教育が必要。
・SHD治療における放射線防護シールドの開発(心エコー専門医や麻酔科医向にも)

発表後は以下の項目で検討が行われました。
・実際の手技で気にすべきポイント
・防護板をどのように使うか
・現在のエコーラボでの取り組み
・Watchmanに関して

文責:吉岡  発表:樗木先生

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