【論文解説】第XI/XIa因子阻害薬に関する研究の現在地【論文解説】

J Am Coll Cardiol. 2023 Feb 28;81(8):771-779.
Clinical Evaluation of Factor XIa Inhibitor Drugs: JACC Review Topic of the Week

今回は第XI/XIa因子阻害薬が取り上げられています。
抗凝固療法の有望なターゲットとな考えられています。日常診療で使用されているDOACに関しては、ワルファリンよりは少ないとの報告はありますが、出血リスクに関する問題が残されています。

第XI/XIa因子(FXI/FXIa)は、内因系の中で主に血栓形成に関与し、凝固や止血にはあまり関与しないことから、理論上は、FXI/XIaを阻害すれば、病的血栓の形成は阻害し、出血や外傷に対する凝固能はほとんど維持できることを示唆しています。この理論は、先天性FXI欠損症患者では自然出血が増加することなく塞栓イベント(心血管イベント、静脈血栓症など)の発生率が低いという報告からも支持されています。FXI/XIa阻害薬の小規模な第2相試験では、出血と安全性に関して有望なデータが得られ、静脈血栓塞栓症の予防に対する有効性が証明されています。

今後、この新しいクラスの抗凝固薬の臨床応用に際しては、複数の大規模な臨床試験が必要と考えられます。心房細動・脳梗塞後・静脈血栓症・冠動脈疾患などで、第三相試験が開始・進行しています。

発表後は、以下のような項目で検討がなされています。
・薬剤費の問題
・治験に関しての確認


発表 夏秋先生  文責 吉岡

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