循環器内科について

 当科は、昭和56年の佐賀医科大学医学部附属病院開院当初より、内科学講座循環器部門として、診療、教育、研究に携わってきました。佐賀県の医療における「最後の砦」として、急性冠症候群や急性心不全、不整脈といった循環器疾患の救急対応を積極的に行っています。

 当科の入院患者数は年間10107名(2021年)で、そのうち緊急入院は4割を超えていました。

 地域の先生方のご協力により外来患者も増加傾向にあり、年間外来受診者数は12548名(2021年)、うち1082名が新患で、虚血性心疾患や末梢血管疾患、発作性心房細動などの不整脈、弁膜症、心不全、肺高血圧症や成人先天性疾患、睡眠時無呼吸症候群など循環器全般にわたって診療を行っています。

 糖尿病患者の無症候性心筋虚血に関しては、医師会の先生方と協力して頸動脈エコーでIMT肥厚のある症例に対して冠動脈CTや運動負荷、心筋シンチ等で積極的に冠動脈疾患のスクリーニングを行い、20%超の症例で経皮的冠動脈形成術(PCI)、または冠動脈バイパス手術(CABG)の適応となりました。また2021年9月からはFFR-CTを導入し、より低侵襲での診断に努めています。

 不整脈に関しては、心臓電気生理学的検査(EPS)、ペースメーカや植込み型除細動器(ICD)/両室ペーシング機能付植込み型除細動器(CRT-D)などデバイスの植込みを行っています。また、経皮的カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)は年間399件(2021年)行っており、県全体から多くの患者さんをご紹介頂いています。

 佐賀県における重症心不全治療にも重点を置いており、補助人エ心臓(LVAD)を装着した症例も少ないながら経験を重ねています。現在、本院は植込型人工心臓管理施設として近隣の実施施設と連携し診療にあたっています。2021年に心臓移植を前提としない重症心不全患者さんへの植込型補助人工心臓の使用が保険償還され、今後さらに増加する補助人工心臓使用患者さんの診療を担っていけるよう精進しております。

 重症心不全の管理をはじめ、虚血性心疾患の二次予防、心不全の再発予防においては、循環器内科医のみならず、他職種での協力体制が非常に重要であり、ハートチームとして、今後も佐賀県の医療の発展に寄与できるよう、皆さまのご協力を得ながら邁進していきたいと考えております。