【論文解説】頻脈誘発心筋症と拡張型心筋症の鑑別のための心電図と心臓MRIについて【論文解説】

Electrocardiogram and CMR to diferentiate tachycardia‐induced cardiomyopathy from dilated cardiomyopathy in patients admitted for heart failure
Heart and Vessels (2022) 37:1850–1858

頻脈誘発心筋症(TIC)と拡張型心筋症(DCM)の鑑別は難しことがしばしばあります。
本研究では、心電図とMRIを用いての、その鑑別診断(LVEF改善)に着目した論文です。

上室性頻脈を伴い、LVEF<50%による心不全のために入院した43人の連続した患者を対象としています。追跡調査時にLVEF>50%であった患者はTICに分類され、LVEF<50%の患者はDCMに分類された。LVEFの回復を予測するために、臨床所見、CMR所見、心電図所見を解析されています。
25例(58%)がTICに分類され、DCM患者はQRS幅が有意に広かった。MRIでは、TIC群ではLVEFが高かったが、DCM群では遅延造影(LGE)の頻度が高い結果でした。多変量解析では、QRS持続時間≧100ms(p=0.027)、CMRでのLVEF<40%(p=0.047)、LGE(p=0.03)の有無がLVEFが回復しないことの独立した予測因子でした。さらに、追跡期間中(中央値60ヵ月)、DCM患者 はTIC患者よりも高頻度にHFで入院しています。結論としては、上室性頻脈を合併した心不全において、QRS≧100ms、LVEF<40%およびLGEは、LVEF回復と予後の独立した因子であると結論づけられています。

発表後の議論は、以下のポイントでなされました
・同様のテーマを扱った論文について。
・本論文が、TCMorDCMとLVEF改善を同時に扱っていることの、構造としての問題。
・本論文のTCM群にDCMが含まれる可能性
・ミトコンドリア機能異常について
 →特に機能異常が心機能低下の原因なのか、結果なのか

                                       発表:枝吉先生 文責 吉岡

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