【論文解説】動脈硬化性疾患に対する、中容量スタチン+エゼチミブ vs 高容量スタチン単独 の効果・安全性の比較研究 (RCT)

Long-term efficacy and safety of moderate-intensity statin with ezetimibe combination therapy versus high-intensity statin monotherapy in patients with atherosclerotic cardiovascular disease (RACING): a randomised, open-label, non-inferiority trial
Byeong-Keuk Kim, Sung-Jin Hong, Yong-Joon Lee, Soon Jun Hong, Kyeong Ho Yun, Bum-Kee Hong, Jung Ho Heo, Seung-Woon Rha, Yun-Hyeong Cho, Seung-Jun Lee, Chul-Min Ahn, Jung-Sun Kim, Young-Guk Ko, Donghoon Choi, Yangsoo Jang, Myeong-Ki Hong, on behalf of the
RACING investigators
Lancet. 2022 Jul 30;400(10349):380-390.


動脈硬化性疾患に対する脂質管理において、中容量スタチン+エゼチミブ vs 高容量スタチン単独 何れを選択するべきか、本研究ではその効果・安全性の比較をRCTで行われています。

動脈硬化性疾患を有する群を、『ロスバスタチン10mgとエゼチミブ10mg』または『高容量スタチン単独療法(ロスバスタチン20mg)』に無作為(1:1)に振り分けられました。主要評価項目は、intention-to-treat集団における3年間の心血管死、主要心血管イベント、非致死性脳卒中の複合エンドポイントとされています。フォローアップは95.8%で行われています。
結果としては、主要評価項目は、併用療法群172例(9.1%)、高容量スタチン単剤療法群186例(9.9%)で発生し、複合エンドポイントでは併用療法の非劣性が示されました。併用療法は高容量スタチン単剤療法に比べ、LDLコレステロールが70 mg/dL未満の患者の達成割合が高い結果でした。これが、エンドポイント低下に良い方向に働いた可能性、そして併用したエゼチミブの効果の寄与も推察されています。

研究の限界として、人種など一般的な研究の限界に加えて、特にオープンラベルで行われており、ノセボ効果が関与した可能性はあると記載されています。

発表後のディスカッションとしては、薬剤不耐性の問題や、ロスバスタチン5mg4Tを処方することの大変さ、心臓以外のエンドポイントに関しての討議が行われました。LDLをターゲットとして行う脂質管理に関しては、スタチン単剤から併用療法による管理をエビデンスの一つだと考えられます。

発表者:樫山先生  文責:吉岡 

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