【論文解説】ATTR アミロイドーシス診療における、既存の心不全治療薬の現状・有効性は?【論文解説】

Conventional heart failure therapy in cardiac ATTR amyloidosis
Eur Heart J. 2023 May 22;ehad347. 
doi: 10.1093/eurheartj/ehad347. 

ATTR アミロイドーシス診療において、タファミジス等の使用が医療経済に及ぼす影響は無視できない問題です。
本論文では、既存の心不全治療薬の現状、その可能性に関して検討されています。

2000年から2022年の間に国立アミロイドーシスセンターでATTR-CAと診断された全連続患者のレトロスペクティブ解析により、2371例のATTR-CA患者を対象としています。

心不全治療薬の処方は、より重篤な症例で多く、β遮断薬が55.4%、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)/アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が57.4%、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)が39.0%でした。追跡期間中央値27.8ヵ月(IQR 10.6-51.3)の間に、21.7%がβ遮断薬を中止し、32.9%がACEi/ARBを中止されています。一方、MRAの中止は7.5%でした。傾向スコアマッチ解析では、MRAによる治療が集団全体、および左室駆出率(LVEF)が40%以上の患者サブグループにおいて、死亡リスク低下との関連が示されました。 低用量β遮断薬による治療は、LVEF≦40%のサブグループにおいて、死亡リスク低下と関連が示されました。ACEi/ARBを用いた治療については有意なイベントとの関連は示されませんでした。

本研究では、既存の心不全治療薬のうち、ATTRアミロイドーシス症例の中で、β遮断薬・MRAに関しては上記のように有効性が示されました。

発表後の議論について
・ACEi/ARBが今回の結果では有効性が示せなかった背景
・ARNIやSGLT2阻害薬が持つ可能性
・マッチングを行った上でも、後ろ向き研究の限界はある
・今回有効性があった薬剤は血行動態に作用した可能性について

                                   発表:山口美佳先生 文責:吉岡

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