【論文解説】ARTESIA Trial(心臓デバイスで指摘された無症状のAFに対して抗凝固どうするか?)

Apixaban for Stroke Prevention in Subclinical Atrial Fibrillation
N Engl J Med 2024;390:107-17.

目的: ペースメーカーなど心臓デバイスでのみ指摘された短時間の無症状心房細動(潜在性心房細動)症例は脳卒中のリスクを2.5倍増加させることが示されているが、これらの症例に対して経口抗凝固療法が有用かどうかを調べた研究である。

方法: 2015-2021年に16カ国、247施設から登録された患者。6分から24時間持続する無症候性心房細動患者を対象とした。患者は二重盲検二重ダミーデザインで、アピキサバンとアスピリン群に無作為に割り付けられた。24時間以上持続する心房細動または有症候性心房細動が発現した場合は、試験薬は中止され、抗凝固療法が開始された。有効性の主要評価項目である脳卒中または全身性塞栓症で評価され,安全性の主要評価項目である大出血で評価された。

結果:平均(±SD)年齢76.8±7.6歳、平均CHA 2 DS 2 -VAScスコア3.9±1.1の4012例を対象とし、患者の36.1%は女性であった。平均追跡期間3.5±1.8年で、脳卒中または全身性塞栓症はアピキサバン群55例(0.78%/年)、アスピリン群86例(1.24%/年)に発生した(ハザード比、0.63;95%信頼区間[CI]、0.45~0.88;P = 0.007)。治療中の集団では、大出血の発生率はアピキサバン群で1.71%/年、アスピリン群で0.94%/年であった(ハザード比、1.80;95%CI、1.26~2.57;P = 0.001)。致死的出血はアピキサバン群で5例、アスピリン群で8例であった。

結論:潜在性心房細動患者では、アピキサバンはアスピリンよりも脳卒中や全身性塞栓症のリスクが低かったが、大出血のリスクは高かった。

院内では以下のようなDiscussionが行われました。

・この結果を受けて、心臓デバイス使用中の症例に対して、全ての症例に抗凝固療法を導入が必要していくよりも、個々の症例で脳梗塞リスクを評価(CHADS2score, 心房拡大など)して判断する必要がある。脳梗塞をより正確に予測できるツールが必要。

・心臓デバイスを入れた原疾患は脳梗塞イベントと関連はあるのか?

・実臨床では、予防が主となるため、半量などでの導入していくのが現実的ではないか?

発表者:鶴田先生、文責: 横井

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