【論文解説】経カテーテル的僧帽弁修復術:5年フォローのデータから見えること【論文解説】

Five-Year Follow-up after Transcatheter Repair of Secondary Mitral Regurgitation
N Engl J Med. 2023 Jun 1;388(22):2037-2048.
doi: 10.1056/NEJMoa2300213.

経カテーテル僧帽弁修復術が日本の僧帽弁診療に加わって数年が経過しています。2年フォローまでの報告はなされていますが、今回は5年までのフォローを行なった論文を取り上げました。

米国とカナダの78施設で、心不全+中等度-重度または重度の二次性僧帽弁閉鎖不全症を有し、ガイドラインに沿った薬物療法を行っても症状が改善しない患者を、経カテーテル僧帽弁修復術と薬物療法を併用する群(デバイス群)と薬物療法のみを行う群(対照群)に無作為に割り付け。
有効性の主要エンドポイントは2年間の追跡期間中の心不全による全入院。心不全による全入院の年率、全死因死亡率、心不全による死亡または入院のリスク、安全性などが5年後まで評価。

試験に登録された614例の患者のうち、302例がデバイス群に、312例が対照群に割り付けられています。全体としてMR-Ⅳ度が50%程度で、平均のEFは30%前後でした。
5年間の心不全による入院の年率換算率は、デバイス群で33.1%/年、対照群で57.2%/年(ハザード比、0.53;95%CI、0.41-0.68)。5年間の全死因死亡率は、デバイス群で57.3%、対照群で67.2%でした(ハザード比、0.72;95%CI、0.58~0.89)。5年以内の死亡または心不全による入院は5年以内の心不全による死亡または入院は、デバイス群で73.6%、対照群で91.5%でした。
サブグループ解析では、いずれのグループでもデバイス群で有意にイベントが少ない結果でした。

対称群でも2割超が、経カテーテル僧帽弁修復術を施行されており、2年後以降のランドマーク解析の結果に影響した可能性があります。クロスオーバーした群の治療後の予後は、デバイス群と同等の結果でした。

研究のリミテーション
コントロール群で同意撤回が散見される
一世代前のデバイスであること

本研究の結論としては、内科的治療単独よりも5年間の追跡期間を通じて心不全による入院率が低く、全死因死亡率が低い結果でした。

抄読会の中で、以下の項目が話し合われました
・弁修復術に関して、その適応の確認
・Mitra-FRの試験結果も含めて、患者選択に関しての議論は
・症状の改善に関しての結果はどうなのか

                                      発表:夏秋先生  文責:吉岡

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次