【論文解説】人工知能(AI)が心エコー検査(LVEF測定)に与える影響

Blinded, randomized trial of sonographer versus AI cardiac function assessment
Nature volume 616, pages520–524 (2023)

今回の抄読会では、人工知能(AI)が心エコー読影に与える影響を検討した論文が取り上げられています。

本研究は、心エコーの読影ワークフローにおけるAIの影響を評価するために、左室駆出率(LVEF)のソノグラファーによる初回評価とAIを比較しています。
主要評価項目は、AI or 超音波検査士による初回評価と心臓専門医による最終評価との間のLVEFの変化とし、実質的な変化(5%以上の変化)を認めた試験の割合で評価しています。

3,769件の心エコー検査から、画質の問題で274件が除外。平均年齢は66歳、男性が57%。AF症例は25%。
EFが変化した試験の割合は、AI群で16.8%、超音波検査士群で27.2%でした(95%信頼区間: -非劣性はP<0.001、優越性はP<0.001)。最終的な心臓専門医の評価と独立した前回の心臓専門医の評価との平均絶対差は、AI群で6.29%、超音波検査士群で7.23%でした。

AIガイドによるワークフローは、超音波検査士と心臓専門医の双方にとって測定時間の短縮につながり、心臓専門医はAIによる初回評価と超音波検査士による評価を区別できなかった(blinding index 0.088)。本論文は、『心エコーを受ける患者において、AIによるLVEFの初期評価は、超音波検査士による評価よりも劣っていなかった』と結論づけています。

発表後の議論としては、
・LVEFの判断を、どのようにAIに学習させたのか
 →検査者自体の数値の幅があることの問題
・時間軸を意識した解析に関して

                                発表 枝吉先生  文責 吉岡

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