Association between sick sinus syndrome and atrial fibrillation: A systematic review and meta-analysis
International Journal of Cardiology 381 (2023) 20–36
徐脈性不整脈の代表疾患である洞不全症候群(SSS)と頻脈性不整脈の代表疾患である心房細動(AF)は合併しやすく、心房細動から洞調律に移行するときにLong pauseとなって症状が出現することがある。
このような患者において、カテーテルアブレーションはペースメーカー植え込みおよび抗不整脈薬の使⽤を減少させることが報告されており、本邦およびESCのガイドラインでは徐脈頻脈症候群を伴う発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションはClass 2aで推奨されている。
目的:SSSとAFの関係を解明し, SSS患者におけるAFの発症や進⾏に関する治療戦略を検討・⽐較する。
方法と結果: 2022年11月まで系統的な文献検索し、系統的レビューとメタアナリシスを行った。37,550人の患者を対象とした合計35の論文を分析した。
- SSS患者はSSSのない患者および房室ブロックの患者と比較して、AFの新規発症と関連していた。
- カテーテルアブレーションは、ペースメーカー治療と比較して、心房細動の再発、全死亡、脳卒中、心不全による入院のリスクが低かった。
- SSSに対するペーシング戦略の違いについては、VVIはDDDよりも心房細動の新規発症リスクが高い。AAIとDDDの間、およびDDDと最小心室ペーシング(MVP)の間には、心房細動再発に関する有意差は認められなかった。
- AAI/AAIRはDDD/DDDRと比較して全死亡のリスクが高かったが、DDD/DDDRと比較して心臓死のリスクは低かった。
- 右心房中隔ペーシングは通常の右心耳ペーシングと比較して、心房細動の新規発症や再発のリスクと同程度であった。
この研究のLimitationは、
・観察研究の割合が多かったこと。
・SSSやペーシングモードがAFに及ぼす影響についての報告が主であったこと。
・AAI, VVI, DDDに関連する研究は2003年以前に発表されたものであったこと。
結論:SSSとAFの合併例において, カテーテルアブレーションがAFの発症/再発, 全死亡, 脳卒中, ⼼不全⼊院などの有害転帰のリスクを低下させた。SSS患者において、AF burdenや死亡率を減少させるために、⼼室ペーシングをできるだけ回避すべきであることが再確認された。
院内では以下のようなDiscussionがなされました。
・ペースメーカーのペーシング率が検討されておらず、ペーシング率によって結果に差が出たのではないか?
・AFに伴うSSSの症例に対して、カテーテルアブレーションを優先するかペースメーカーのどちらを優先べきか?
発表者 西村先生、文責 横井