ペースメーカーについて

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ペースメーカー治療の必要な不整脈について

 心臓は24時間365日休むことなく規則正しく動いています。そのリズムを作っているのは右心房の上の方にある洞結節です。洞結節から出た命令は心房から房室結節という中継点を通り心室へ伝わり心臓が拍動します。

 この命令と伝達が正常に働かなくなってしまう状態を不整脈といいます。
 このなかで、脈が遅くなる不整脈を「徐脈性不整脈」といい、脈が極端に早くなる不整脈を「頻脈性不整脈」呼びます。
 ペースーカー治療の対象となる代表的な不整脈以下のようなものがあります。

「徐脈性不整脈」の代表的な病気

①洞不全症候群

 拍動のスタート部分にあたる洞結節の機能が低下することで脈が遅くなります。
 症状としてはふらつきや失神、息切れなどがあります。

②房室ブロック

 心房と心室の中継点である房室結節の機能が低下することで脈が遅くなります。
 症状としてはふらつきや失神、息切れなどがあります。

「頻脈性不整脈」の代表的な病気

①心室頻拍

 心室が洞結節からの命令を無視して勝手に早く拍動してしまいます。
 症状としては動悸や息切れ、時に意識を失い命にかかわることもあります。

②心室細動

 心室が洞結節からの命令を無視して痙攣してしまう状態です。
 症状としては心臓が止まった状態と同じであり、意識を失い適切な処置を行わなければ命にかかわります。

ペースメーカーの種類と働き

①ペースメーカー

 ペースメーカーは本体とリードからなり、心臓内に留置されたリードを介して本体で心臓の電気信号を24時間監視し続け、脈が遅くなった場合に本体から電気刺激を送って脈を補う働きをします。
 最近はリードレスペースメーカーといい、本体とリードが一体になったペースメーカーもあり一部の患者さんで使用しています。

②植込み型除細動器

 構造はペースメーカーと同じですが、頻脈性不整脈を止めるための電気ショックをかけることができる機能がついています。不整脈が出た場合に本体が認識し自動で電気ショックをかけ、不整脈をとめてくれます。

③両心室ペースメーカー

 特殊なペースメーカーで脈の遅い、早いに対する治療ではなく、心不全で心臓の機能が低下している患者さんに使用し心臓の収縮を補助してくれる機能がついています。
 通常、右心室に留置するリードを左心室側にも留置し心臓を左右両方から収縮させるペースメーカーです。

ペースメーカー治療について

 治療は基本的に局所麻酔で行います。鎖骨の下のあたりに5~7cmほどの切開を入れ皮膚と筋肉の間に本体を入れます。リードを鎖骨の下を走る血管を通して心臓の中においてきます。手術にかかる時間は1~2時間程度で、術後は通常通り歩行などもできます。入院期間は1週間です。

ペースメーカー植え込み後の生活について

 植え込み後の日常生活において通常の運動は可能です。ただし、植込み部位の腕を激しく動かしたり、ぶつかったりする運動は本体やリードにダメージを及ぼす恐れがあるため控えてください。
 家庭内にある電子機器では体脂肪計やマッサージチェアは使用を控えてもらいます。その他、IH機器やスマートフォンなどは注意していただければ使用は可能です。
 運転に関してはペースメーカーに関しては植え込み後、問題なければ制限はありません。ただし植込み型除細動器に関しては医師の診断のもとで運転の可否は変わります。
 ペースメーカー植え込み後は定期的に外来で状態をチェックしていきます。最近は遠隔モニタリングといい自宅に送信機を置いてもらうことで病院受診せずにペースメーカーの経過をみることもできるようになっています。

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この記事を書いた人

【佐賀大学医学部循環器内科ドクター】

佐賀大学医学部循環器内科に勤務するドクターが、心臓にかかわる病気のよくある事例や予防をブログにて執筆しております。少しでも皆さんのお役にたちますように。

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