コレストロールとは
健康診断の血液検査に必ず含まれている項目で「コレステロール」というものがあります。心臓病や脳卒中を引き起こす指標として知られており、「コレステロールが高い=悪いこと」というイメージがあります。しかし、本来コレステロールは体の中にある生命の維持になくてはならない脂質の一種で、細胞の働きの調節や栄養素の吸収などに関わっています。全体の3分の1が食事で体外から取り入れられ、残りの3分の2は体内(主に肝臓)で合成されます。
コレストロールの種類
コレステロールは善玉や悪玉などいくつかの種類がありますが、中でもLDLコレステロールが悪玉コレステロールと呼ばれています。LDLコレステロールは肝臓から全身の細胞にコレステロールを届ける役割を果たしていますが、必要以上にコレステロールが増えると使用されずに血中に残ってしまい、血管の壁に次々に入り込んでいくようになり、血管が狭くなったり、しなやかさがなくなり硬くなったりします。これが、「動脈硬化」と言われるものです。もし、これが心臓を養っている血管(冠動脈)に動脈硬化が起こると、脆くなった血管の内膜が破れ血の塊(血栓)ができて、血流が滞ってしまい、その先にある心臓の筋肉に血液を供給できなくなってしまう心筋梗塞を発症します。動脈硬化は20歳頃から徐々に現れると考えられていますが、多くの場合は重篤な状態になるまで、自覚症状がないままに進行していきます。そこで、早い段階から意識して予防していくことが大切です。
動脈硬化の予防
動脈硬化を予防するためには、動物性脂肪(飽和脂肪酸)の多い肉類・乳製品やトランス脂肪酸を含むマーガリン・ショートニングなどの過剰摂取を避けるようにして、栄養バランスのとれた食事をとるようにすることが重要です。コレステロールの吸収を防ぐため、野菜、海藻、大豆製品や玄米、ライ麦パンなどの食物繊維の多い食品を摂取するようにします。また、運動はコレステロールの代謝を促進し、エネルギーを消費することから、食事療法とともに定期的に行うことが効果的です。中程度の運動である有酸素運動は脂肪をよく燃焼するため、ジョギングやウォーキングを1日30分程度、週3回以上行うことが推奨されています。高齢者や心血管疾患や骨関節疾患がある場合には、急に運動を実施することは身体に与える負担が大きいため、掃除、洗車、子供と遊ぶ、自転車で買い物に行くなど、日常生活のなかで身体活動量を増やすことからはじめてもよいでしょう。
以上のように生活習慣を改善して、コレステロールによる病気の発症を防ぎましょう。