閉塞性動脈硬化症について

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閉塞性動脈硬化症とは?

 動脈硬化は血管の壁にコレステロールなどが沈着し、血管の内側が徐々に狭くなり(狭窄)、詰まってしまう変化です。動脈硬化は全身の動脈に生じますが、腹部大動脈を含めた四肢への動脈(特に下肢動脈)に起こったものを、閉塞性動脈硬化症と呼びます。
近年、糖尿病・透析患者の増加、高齢化などで、閉塞性動脈硬化症にかかる患者さんが増加しています。

どんな症状?

閉塞性動脈硬化症の症状は、血管が動脈硬化により、狭くなり、詰まることで血流が悪化して起こります。

  • 間歇性跛行(はこう):しばらく歩くと下肢のだるさや痛みなどのために歩けなくなり,少しのあいだ休むと再び歩けるようになる症状
  • しびれ、冷感
  • 安静時疼痛:安静にしていても足に痛みが生じる
  • 潰瘍、壊疽:血液が足の先に行かないため、足に潰瘍ができ、進行すると足が腐ってしまう

特に約 70~80% が間歇性跛行(歩行時の下肢のだるさや痛み)を訴えられます。
また、潰瘍、壊疽の状態で細菌感染を合併すると、血流が悪いため、足の壊死が進行し下肢の切断が必要となることもあります。感染が全身に波及すると敗血症となってしまい、致命的になる可能性もあります。

検査について

ABI :ankle brachial index(足関節上腕血圧比)

両側の上腕と足首の血圧を測定してその比計算することにより、比較的太い動脈の内腔が狭くなっていないかどうかを調べる検査です。0.90 以下では主な動脈の狭窄や閉塞が疑われます。

超音波検査

人の耳では聞こえないほどの高い周波数の音(超音波)を利用した検査です。簡便で利便性の高い非侵襲的な検査法で、血管の狭窄・閉塞を判断できます。

CT / MRI検査

どちらも非侵襲的な検査方法です。CT検査では、ヨード造影剤を使用して血管を描出する検査で、全身の動脈を観察する為に行います。造影剤が使用できない場合は、MRI検査も行われます。

治療について

閉塞性動脈硬化症の治療は、まず薬物治療です。しかし、症状がコントロールできない場合は、カテーテル治療やバイパス手術を考慮します。

薬物治療

薬を使用して治療します。

経皮的血管形成術(カテーテル治療)

カテーテルと呼ばれる管を血管の中へ入れて、風船で狭くなった血管を広げる事により、血液の流れを良くする治療です。ステント(金属製の筒状の網)を使用する場合もあります。

バイパス手術

流れの悪くなった血管の先に、バイパスとなる血管をつなげる、手術です。

出典:日本循環器学会 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)

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この記事を書いた人

【佐賀大学医学部循環器内科ドクター】

佐賀大学医学部循環器内科に勤務するドクターが、心臓にかかわる病気のよくある事例や予防をブログにて執筆しております。少しでも皆さんのお役にたちますように。

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