【論文解説】左室機能低下を有する虚血性心臓病患者に対するPCIは至適薬物治療と比較して予後を改善しない 〜REVIVED試験〜

Percutaneous Revascularization for Ischemic Left Ventricular Dysfunction.

Perera D, Clayton T, O’Kane PD, Greenwood JP, Weerackody R, Ryan M, Morgan HP, Dodd M, Evans R, Canter R, Arnold S, Dixon LJ, Edwards RJ, De Silva K, Spratt JC, Conway D, Cotton J, McEntegart M, Chiribiri A, Saramago P, Gershlick A, Shah AM, Clark AL, Petrie MC.

N Engl J Med. 2022 Aug 27

左室機能障害を有する虚血性心臓病の患者に対して、経皮的冠動脈形成術(PCI)による血行再建術と至適薬物治療単独とを比較した多施設共同ランダム化比較試験。

方法は、左室駆出率が35%以下で,PCI可能な広範な冠動脈疾患を有し,心筋viabilityがあると判断された患者を,PCI+至適薬物療法(PCI群)または至適薬物単独(至適薬物療法群)のいずれかに無作為に割り付けた。Primary outcomeは全死亡または心不全入院とした。Secondary outcomeは6ヵ月と12ヵ月のEFおよびQOLスコアとした。

合計700人の患者が無作為に割り付けられ、347人がPCI群に、353人が至適薬物療法群に割り付けられた。中央値41ヵ月の間に,PCI群では129例(37.2%),至適医療群では134例(38.0%)に一次アウトカムイベントが発生した(ハザード比,0.99;95%CI,0.78~1.27;P=0.96)。EFは,6ヶ月, 12 ヵ月後共に 2 群で有意差は認めなかった. QOLは6ヵ月と12ヵ月ではPCI群で改善がみられたが、24ヵ月ではその差は縮小していた。

以上の結果より、至適薬物治療を受けた左室機能障害を有する虚血性心臓病の患者において、PCIによる血行再建は、全死亡や心不全入院の発生率を低下させることはないと結論づけられた。

カンファレンスでの議論

・この結果を受けてこれまでの冬眠心筋の概念が覆るのか、CABG vs OMTを比較した試験ではCABGでの有意性が示されているため、冬眠心筋の概念は変わらないのか。

・EF低下に対する無症候性心筋虚血に対するPCIの適応は今後狭まることが予想されるが、ACSに対する対応は今後も永続的に必要なため、次世代をどのように育てるかが問題になってくる。現在は循環器内科医を目指す医師全員がまずは冠動脈造影の手技を練習するが、このような時代は終わるのかもしれない。対応施設も集約化して、少人数化が進行するかもしれない。

・OMTは今後さらに進歩する可能性があり、これからますますこの傾向が強まると思われる。この論文の結果が、新しい虚血デバイス(例えば末梢循環の改善を促すデバイス)、新しいPCIの方法などインターベンションの革新に繋がるきっかけになればと思う。

発表者;本郷、文責;大坪

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