論文解説:急性肺血栓塞栓症患者における機械的血栓除去術の効果は:STORM-PE試験

Lookstein RA, Konstantinides SV, Weinberg I, Dohad SY, Rosol Z, Kopeć G, Moriarty JM, Parikh SA, Holden A, Channick RN, McDonald B, Nagarsheth KH, Yamada K, Rosovsky RP; STORM-PE Trial Investigators. Randomized Controlled Trial of Mechanical Thrombectomy With Anticoagulation Versus Anticoagulation Alone for Acute Intermediate-High Risk Pulmonary Embolism: Primary Outcomes From the STORM-PE Trial. Circulation. 2026 Jan 6;153(1):21-34. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.125.077232. Epub 2025 Nov 3. PMID: 41183181.

STORM-PE試験は、中等度高リスク急性肺血栓塞栓症(intermediate-high risk PE)患者を対象に、抗凝固療法単独機械的血栓除去術(computer-assisted vacuum thrombectomy:CAVT)+抗凝固療法を比較した、初の国際多施設ランダム化比較試験です。本研究は、CAVTの有効性および安全性を前向きに検証することを目的として実施されました。

対象は、発症14日以内で血行動態は安定しているものの、CT肺動脈造影でRV/LV比が1.0以上、かつ心筋バイオマーカー上昇を認める成人患者100例です。患者はCAVT群47例、抗凝固療法単独群53例に1:1で無作為割り付けされました。主要評価項目は、48時間後のRV/LV比の変化量であり、盲検化された独立画像コアラボにより評価されました。

その結果、48時間後のRV/LV比の低下はCAVT群で有意に大きく(0.52±0.37 vs 0.24±0.40)、群間差は0.27(95%信頼区間 0.12–0.43、P<0.001)でした。さらに、修正Millerスコアおよび精緻化修正Millerスコアによる肺動脈閉塞指数の改善もCAVT群で有意に大きく、RV/LV比が1.0以下に正常化した症例の割合もCAVT群で高率でした。臨床指標においても、48時間以内の心拍数や酸素化などのバイタルサインの早期正常化が、CAVT群でより多く認められました。

安全性評価では、7日以内の主要有害事象(臨床的増悪による救済治療、PE関連死亡、症候性再発PE、重大出血)の発生率において、両群間に有意差は認められませんでした(CAVT群 4.3%、抗凝固療法群 7.5%)。CAVT群でPE関連死亡が2例報告されましたが、いずれも手技やデバイスとの因果関係は否定的と判断されています。なお、CAVTの手技成功率は100%であり、手技時間も比較的短く、肺動脈圧の即時的な低下が確認されました。

本試験の結果から、中等度高リスクPE患者において、CAVTは抗凝固療法単独と比較して、短期間での右室負荷軽減および血行動態改善に優れる一方、重大な安全性リスクの増加は認められないことが示されました。今後、90日までの追跡データを含む長期予後やQOL評価の結果により、CAVTの臨床的位置づけがさらに明確になることが期待されます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次