論文解説: WITHDRAW-AF trialから読み解く、AFリズムコントロール後の薬物療法

Segan L, Kistler PM, Nanayakkara S, Taylor A, Hare J, Costello B, Chieng D, Crowley R, William J, Sugumar H, Cho K, Voskoboinik A, Ling LH, Nderitu Z, Azzopardi S, Curtin A, Premaratne M, McLellan AJ, Mariani J, Morton JB, Lee G, Joseph S, Reid C, Kaye DM, Kalman JM, Prabhu S. Withdrawal of heart failure therapy after atrial fibrillation rhythm control with ejection fraction normalization: the WITHDRAW-AF trial. Eur Heart J. 2026 Jan 7;47(2):250-262. doi: 10.1093/eurheartj/ehaf563.

WITHDRAW-AF試験(Withdrawal of heart failure therapy after atrial fibrillation rhythm control with ejection fraction normalization)の結果を今回は取り上げました。

【背景と目的】

心房細動(AF)に伴う頻脈誘発性心筋症(AFCM)は、洞調律の維持(リズムコントロール)によって左室駆出率(LVEF)が正常化する、可逆的な心不全の主要な原因です 。現在のガイドラインでは、LVEFが正常化した後も心不全治療薬の無期限継続が推奨されていますが、リズムコントロールが確立されたAFCM症例において、これが本当に必要かどうかは不明でした 。本試験は、AFのリズムコントロール成功後にLVEFが正常化した患者において、段階的な心不全薬物療法の投与中止がLVEF維持に及ぼす影響を評価することを目的としました 。

【方法】

  • 対象: AFのリズムコントロールに成功し、LVEFが正常化(>50%)した心不全症状のない患者60名 。
  • デザイン: 多施設共同オープンラベル・ランダム化クロスオーバー試験 。
  • プロトコル: 参加者を、早期薬物中止群(グループA)と、6ヶ月間継続後に中止する遅延中止群(グループB)に1:1で割り付けました 。+1
  • 中止方法: β遮断薬を最初に中止し、続いてRAAS阻害薬等を12週間かけて段階的に減量・中止しました 。
  • 主要評価項目: 6ヶ月時点での心臓MRIによるLVEF維持(>50%) 。

【結果】

  1. 主要項目: 6ヶ月時点でのLVEF維持率は、薬物中止群(グループA)で90%、継続群(グループB)で100%であり、両群間に有意差は認められませんでした(P=0.47) 。
  2. 安全性: 全体で5名(8.3%)にLVEFの低下(<50%)が認められましたが、心不全による入院や重大な心血管イベント(MACE)は発生しませんでした 。
  3. 再開後の反応: LVEFが低下した5名は、心不全治療薬の再開により、中央値54%まで速やかにLVEFが回復しました 。
  4. 長期予後: 主要評価項目を達成し、薬物中止を継続した参加者の90%が、試験終了から12ヶ月後もLVEF 50%以上を維持していました 。
  5. 副次項目: 薬物中止により安静時心拍数と血圧の上昇は認められましたが、NT-proBNP値やQOLスコア、運動能には有意な変化はありませんでした 。

【結論】

AFのリズムコントロールが確立され、LVEFが正常化したAFCM患者において、段階的な心不全治療薬の中止は、多くの症例(約90%)でLVEFを低下させることなく実施可能でした 。ただし、一部に再燃が見られるため、中止に際しては「厳密なLVEF監視」と「遠隔モニタリングによる心拍・リズムの継続的な評価」を併用した、慎重かつ個別化されたアプローチが求められると記載されています。

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