論文解説:プロテオーム解析と遺伝学的手法を統合し、AFの新たな予測指標と治療介入の可能性

Peng X, Li Y, Liu N, Xia S, Li X, Lai Y, He L, Sang C, Dong J, Ma C. Plasma Proteomic Insights for Identification of Novel Predictors and Potential Drug Targets in Atrial Fibrillation: A Prospective Cohort Study and Mendelian Randomization Analysis. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2024 Oct;17(10):e013037.

心房細動(AF)は加齢や高血圧、肥満などの既知リスク因子があるものの、予測や早期介入に有効なバイオマーカーは確立されていません。本研究はUK Biobankに登録された約3万9千人を対象に、約3000種類の血漿タンパク質を測定した大規模前向きコホート研究です。追跡期間中央値は14〜15年で、新規AF発症は発見コホートで5.5%、検証コホートで10.6%に認められた。コックス回帰解析により両コホートで共通して21種類のタンパク質がAF発症と関連していた。このうちCOL4A1(IV型コラーゲンα1鎖)とRET(レセプター型チロシンキナーゼ)がメンデルランダム化解析で因果的関連を示されました。RETは創薬可能な分子であり、既にがん領域で複数の阻害薬が開発されています。一方COL4A1は構造タンパクで創薬標的にはなりにくいが、臨床予測モデル(CHARGE-AFやHARMS2-AF)に組み込むことで3年・5年・10年リスク予測の精度を有意に向上させ、バイオマーカーとしての有用性が示唆されました。さらにマウス心房筋細胞実験ではRET阻害がCaスパーク頻度やCa波発生を増加させ、AF発症トリガーとなる電気生理学的変化を誘発することが確認されました。以上より、COL4A1は新規のAF予測マーカー、RETはAF予防の治療標的となり得ることが明らかとなりました。本研究は、プロテオーム解析と遺伝学的手法を統合し、AFの新たな予測指標と治療介入の可能性を提示した点で意義深い研究だと考えられます。今後は多民族集団での再現性検証や機能的メカニズム解明、RET阻害薬使用時のAF発症リスク評価など臨床応用に向けた検討が求められます。

発表 新里先生  文責 吉岡

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