Cao JY, Egbe AC, Olsen N, Jain CC, Borlaug BA, Reddy YNV, Connolly HC, Celermajer D, Cordina R, Miranda WR. Adults with Fontan circulation: prognostic value of exercise pulmonary vascular resistance index. Eur Heart J. 2026 Feb 18;47(7):854-864. doi: 10.1093/eurheartj/ehaf941. PMID: 41431960.
背景と目的 二心室循環において、運動時の肺血管抵抗(PVR)低下は良好な予後と関連することが知られていますが、単心室循環であるフォンタン循環におけるその意義は十分に解明されていません 。本研究は、フォンタン術後の成人患者を対象に、運動負荷時の肺血管抵抗指数(PVRI)の変化および値が持つ予後予測能力を評価することを目的としました 。
対象と方法 メイヨークリニックにて2019年から2024年の間に、仰臥位エルゴメーターによる運動負荷心臓カテーテル検査を施行した成人フォンタン術後患者88例(平均年齢32.2歳)を対象とした実態把握に基づくレトロスペクティブ・コホート研究です 。患者は運動によるPVRIの低下の有無(低下あり:低下なし)によって群分けされました 。主要エンドポイントは、全死亡または心移植の複合と定義されました 。
主な結果
- 運動時血行動態と予後の関連: 平均2.2年の追跡期間中、14例にイベント(死亡5例、移植9例)が発生しました 。解析の結果、安静時のPVRIは予後と関連しませんでした(HR 0.95, P=0.86)が、運動時のPVRIは予後を強く予測しました(HR 2.15 , P=0.007) 。
- PVRI反応性による層別化: 運動によりPVRIが低下しなかった群は、低下した群と比較して2年無イベント生存率が有意に不良でした(67% vs 95%, P<0.001) 。
- 独立した予測因子: 運動時PVRIの予後予測能は、運動時肺動脈楔入圧(ex-PAWP)やその他の臨床的リスク因子(年齢、心室形態、NYHA分類、NT-proBNPなど)で調整した後も有意であり、独立した予測因子であることが示されました 。
- 表現型の統合: ex-PVRI(反応性)とex-PAWP(20 mmHg超を上昇と定義)を組み合わせることで、4つの異なる予後リスク層を特定できました。特にPVRIが低下せず、かつex-PAWPが上昇した群で最も予後が不良でした 。
結論 成人フォンタン患者において、運動負荷時のPVRI反応性は、安静時の血行動態指標や臨床データを超えた強力な予後予測因子です 。本研究の結果は、フォンタン循環における潜在的な肺血管病変を評価するための運動負荷心臓カテーテル検査の重要性を裏付けるものであり、今後の治療標的としての可能性も示唆しています 。
