【論文解説】The myocardial phenotype of Fabry disease pre-hypertrophy and pre-detectable storage【論文解説】

The myocardial phenotype of Fabry disease pre-hypertrophy and pre-detectable storage
Eur Heart J Cardiovasc Imaging.  2021 Jun 22;22(7):790-799.

ファブリー病(FD)の心病変は、左室肥大を来す前に、心臓MRIでnative T1値の低下が見られる。本研究では、native T1値が低下する以前の心筋の変化を調べている。FD患者と健常対照者に対し、心電図所見と心臓MRIを実施して検証した。

左室肥大を来したFD患者では、左室肥大を来していない患者と比べて、心臓MRIにおけるMBF、GLS、native T1の低値、T2の高値が見られ、心電図では、P・QRS・QTの持続時間が延長し陰性T波が見られ、これまでの報告通りであった。

左室肥大を来していないFD患者(T1値正常:40名、T1低値:32名)、健常対照者を比較すると、健常対照者と比較してT1値正常のFD患者において、心臓MRIでのGLSは低く、心電図でT波の対称性(Tonset-Tpeak)/(Tpeak-Tend)、T波高は、有意に低下しており、これらの変化が比較的早期に検出されるものであることが示唆された。

この研究は、ファブリー病の早期診断の可能性に寄与しうる。特に、T1が低下する前の心筋表現型の特定は、早期治療の可能性を広げる。しかし、サンプルサイズが小さいため、結果の一般化には注意が必要である。さらなる大規模な研究が求められる。

発表者 矢島先生

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