【論文解説】魚油(fish oil)サプリメントの常用と心血管疾患の経過:前向きコホート研究【論文解説】

Regular use of fish oil supplements and course of cardiovascular diseases: prospective cohort study
BMJ Med. 2024 May 21;3(1):e000451
https://bmjmedicine.bmj.com/content/3/1/e000451

魚油サプリメントの心房細動や主要心血管イベント、死亡の予防効果について検討することを目的とした研究です。

UK Biobank研究に登録された40~69歳の415737人を対象とした前向きコホート研究です。

心血管疾患のない415737人の参加者のうち、心房細動を発症した18367人、主要心血管イベントを発症した22636人、追跡期間中の死亡22140人が同定されました。魚油サプリメントの常用は、健康な状態から心房細動、主要心血管イベント、そして死亡への移行において、それぞれ異なる役割を果たしていました。心血管系疾患のない人では、健康状態から心房細動への移行におけるハザード比は1.13(95%信頼区間1.10~1.17)、健康状態から脳卒中への移行におけるハザード比は1.05(1.00~1.11)でした。既知の心血管疾患の診断を受けた参加者では、魚油サプリメントの定期的な使用は心房細動から主要有害心血管イベントへの移行(ハザード比0.92、0.87~0.98)、心房細動から心筋梗塞への移行(0.85、0.76~0.96)、心不全から死亡への移行(0.91、0.84~0.99)に有益でした。

日米で健康食品として摂取されている魚油は、一次予防としては心房細動発症をむしろ増やしました。一方で、二次予防としてはイベント減少に効果が示されました。

発表後は、以下の内容で討議が行われました。

・中性脂肪を低減する目的での、一次予防の魚油投与は勧められないということか?
・過去の研究結果との相違の原因は何か?
・添加剤の影響は考えられるか?

発表 山口先生 文責 鍋嶋

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