【論文解説】冠動脈3枝全てにOCTを施行する意義:リスク層別化の可能性は?

Identification of High-Risk Coronary Lesions by 3-Vessel Optical Coherence Tomography
J Am Coll Cardio. 2023 Apr 4;81(13):1217-1230.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109723002619?via%3Dihub

急性冠症候群の非責任血管病変のイベントは、primary PCIや薬物療法が進歩した現在でも、解決すべき問題です。

OCTは組織学的に定義された高リスクプラークを評価することが可能です。本論文では、OCTを用いて冠動脈3枝全てにOCTを施行し、そのリスク層別化が可能性を検討されています。著者らは、心有害事象のリスクのある患者において、OCTの予後的価値を検討することを目的としています。

方法ですが、2017年1月から2019年5月にかけて、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に紹介された急性心筋梗塞(MI)患者883例を対象に、冠動脈3枝すべてのOCTを実施しています。主要エンドポイントは、心臓死、非責任病変に関連した非致死的MI、予定外の冠動脈血行再建の複合エンドポイントです。患者の追跡期間は最長4年(中央値3.3年)でした。

結果ですが、主要エンドポイントの4年累積発生率は7.2%でした。患者レベルの解析では、thin-cap fibroatheroma(TCFA)(調整HR:3.05;95%CI:1.67-5.57)と最小血管内腔面積(MLA)<3.5mm2(調整HR:3.71;95%CI:1.22-11.34)が主要エンドポイントの独立した予測因子でした。病変レベルの解析では、その後のイベントの原因となった非責任病変はベースライン時には血管造影では重症ではなかった(平均狭窄径43.8%±13.4%)。
TCFA(調整HR:8.15;95%CI:3.67-18.07)およびMLA<3.5mm2(調整HR:4.33;95%CI:1.81-10.38)は、各特定病変に起因するイベントの予測因子でした。
著者らは、『急性心筋梗塞患者における血管造影上非閉塞領域のOCT画像は、有害心イベントのリスクが高い患者や病変を同定するのに有用である』と結論づけています。

発表後は、以下の内容で討議が行われました。

・責任血管以外の介入に関して
・脂質管理を含めたハイリスク症例への介入を
・無症状の方への、一次予防としてのリスク管理について

               発表 園田先生    文責 吉岡

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