【論文解説】低減衰プラークを有する患者におけるリポ蛋白(a)値と心筋梗塞との関連は?

Association of Lipoprotein(a) Levels With Myocardial Infarction in Patients With Low-Attenuation Plaque
J Am Coll Cardiol.2024 May 7;83(18):1743-1755.
https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2024.03.367

リポ蛋白(a)(以下Lp(a))は心筋梗塞(MI)のリスク増加と関連しています。LP(α)はリポ蛋白の亜型で、LDLの一部を構成しています。炎症や動脈硬化、血栓形成に関わると言われています。肝臓で合成され、全身の動脈硬化に関わり、大動脈弁への蓄積が報告されています。高Lp(a)血症は、新規心筋梗塞の発症、更には心筋梗塞再発への関与が示されています。しかし、この関連の根底にあるメカニズムはまだ完全に解明されていません。今回取り上げる論文は、中国の3施設が参加した多施設共同研究において、『Lp(a) と MI リスクの関連性が、冠動脈CT で特定された低減衰プラーク (LAP) の存在によってどのように変化するか』を評価することを目的としています。

本研究では、CTと Lp(a) 測定を受けた、冠動脈疾患が疑われる安定した患者 5,607 名が前向きに登録されました。検証コホートでは、同じ期間に 1,122 名の患者が後向きに収集されました。高 Lp(a) は、Lp(a) ≥50 mg/dL と定義されています。主要評価項目は、致死的または非致死的 MI までの複合でした。関連性の評価は、多変量 Cox 比例ハザード モデルを使用して行われています。

結果ですが、中央値 8.2 年の追跡期間中 (Q1-Q3: 7.2-9.3 年)、高 Lp(a) は17%に認められ、Lp(a) レベルの上昇は MI リスクと関連していました (調整 HR [aHR]: 1.91、95% CI: 1.46-2.49、P < 0.001)。MIリスクとの関連で、Lp(a) と LAP の間には有意な相互作用があり、LAP の有無で層別化すると、Lp(a) は LAP 患者の MI と関連していました (aHR: 3.03、95% CI: 1.92-4.76、P < 0.001)。媒介解析の結果、Lp(a) と MI の関係において LAP が 73.3% (P < 0.001) 媒介していることが示されました。

本研究では、 『8年間の追跡期間中、Lp(a) 上昇は特に CTで LAP が特定された患者において MI のリスクを増大させ、LAP の存在は、Lp(a) と将来の MI 発生との関係を強化する可能性がある』と結論づけています。

発表後は、以下のような内容で検討が行われました。

・Lp(a)測定の意義に関して
・どの程度、高いLp(a)血症の症例が存在するか
・人種による差は?

発表:夏秋先生       文責:吉岡

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