Sex Dimorphism in the Myocardial Response to Aortic Stenosis
JACC Cardiovasc Imaging. 2018 Jul;11(7):962-973
今回は大動脈弁狭窄症(AS)症例におけるLVリモデリングの性差を、CMRで評価した論文が紹介されました。
ASは弁と左室(LV)の両方の疾患で、ASではLVリモデリングにおける性差が報告されています。この研究では、心エコー・MRI・バイオマーカーを用いて評価をされています。
方法 本研究は、重症ASに対して弁置換術を待っている患者を対象に、心エコー、6分間歩行試験、採血検査(高感度トロポニンTおよびNTproBNP)、MRIを用いてLGE(ガドリニウム遅延造影)、細胞外容積分画を評価されています。LVリモデリングは正常幾何学、同心円リモデリング、同心円性肥大、偏心性肥大に分類されました。
結果ですが、168例の患者が解析されています。背景は、年齢70±10歳、男性55%、AVAI0.40±0.13cm2/m2、平均圧格差47±4mmHg。ASの重症度や機能的能力(6分間歩行試験)に性差や年齢差は認められませんでした。一方でMRIは、心エコーでは明らかでなかったLVリモデリングの性差を捉えています。女性では正常ジオメトリー(82%)と同心円性リモデリング(60%)が優位であり、男性では同心円性肥大(71%)と偏心性肥大(76%)が優位でした。また、男性では左室駆出率の低下、NTpro-BNPと高感度トロポニンTが高値という結果でした。心筋線維化の割合は男性で高く、局所線維化(後期ガドリニウム増強16.5±11.2g vs 10.5±8.9g;p<0.001)と細胞外膨張(マトリックス体積28.5±8.8ml/m2 vs 21.4±6.3ml/m2;p<0.001)が高い結果でした。
結論としては、CMRにより、心エコーでは明らかでなかったASと心筋リモデリングの関連における性差が明らかになったと締めくくられています。
発表後の検討では、以下のポイントで議論が行われました
・元来の心筋における性差
・ASの予後に関して性差はどうか
発表:山口美佳 文責:吉岡