【論文解説】末梢型のがん関連DVT、どのくらい抗凝固療法を継続するか? ONCO DVT Studyより 

Edoxaban for 12 Months Versus 3 Months in Patients With Cancer With Isolated Distal Deep Vein Thrombosis (ONCO DVT Study): An Open-Label, Multicenter, Randomized Clinical Trial
Circulation. 2023 Nov 21;148(21):1665-1676.

出血・再発両方が多い癌関連DVT、その8割以上を占める末梢型DVTがテーマの論文を取り上げています。現行のガイドラインでは、抗凝固療法を3ヶ月までと記載されていますが、適な投与期間を明らかにするエビデンスが限られている現状があります。本研究では、がん関連末梢型DVTに対して、エドキサバン12ヵ月投与群 vs 3ヵ月投与群でのランダム化比較試験を行われています。

国内60施設で実施された多施設共同臨床試験で、遠位DVTを有するがん患者を1対1の割合で無作為に割り付されています(エドキサバン12ヵ月投与群 vs 3ヵ月投与群)。

主要エンドポイント:
 12ヵ月後の症候性再発VTE,or VTE関連死亡
副次的エンドポイント     
 12ヵ月後の大出血(国際血栓止血学会の基準)

症候性は18-23%、7割以上のエドキサバン容量が30mgです。6割を超える症例が半年以内に癌と診断され、がん薬物療法が4割を超える症例で行われています。

・主要エンドポイント(VTE関連死亡、再発)
 12ヵ月群296例中3例(1.0%)vs、3ヵ月群305例中22例(7.2%)(オッズ比、0.13;95%CI、0.03-0.44)。
・大出血:
  12ヵ月群では296例中28例(9.5%)3ヵ月群305例中22例(7.2%)に発現(オッズ比1.34;95%CI、0.75-2.41)。

両群とも1年間でVTE関連死亡はありませんが 、全死亡は22-25%でした。
VTE再発は1% vs 7%と12ヶ月継続のメリットが示され、出血は9.5% vs 7.2% と12ヶ月継続でも有意な上昇はありませんでした。

本研究の結論として、以下の内容です。
①がん関連末梢DVTは抗凝固療法による再発予防がなければ、その後の再発リスクは決し稀ではない。
②一方で、凝固療法に伴う出血リスクも高い症例群でもあり、血栓症リスク・出血リスクを症例毎に治療内容を検討する必要がある。

発表後の討議として
・エドキサバンの容量に関して
・がん関連末梢型DVTの実際の症例に関しての検討

          文責・発表:吉岡



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