【論文解説】小児期の心血管危険因子と成人期の心血管イベント Childhood Cardiovascular Risk Factors and Adult Cardiovascular Events

N Engl J Med. 2022 May 19;386(20):1877-1888.

背景:小児期の心血管危険因子は成人期の潜在性心血管疾患を予測するが、実際の成人期イベントとの関連は明らかでない。
方法:
– 前向きコホート研究、オーストラリア、フィンランド、アメリカ
– 1970-1990年代に7つの前向きコホート研究に登録された、42324人の3-19歳時(小児期)の小児期の危険因子が、平均35年間後の成人期の心血管イベントに関連するかどうかを検討。
– 5つの危険因子(BMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセリド値、若年期の喫煙)についてZ scoreで解析した。
結果:登録された症例数は38,589人(男性49.7%,黒人15.0%;受診時の平均年齢,11.8±3.1歳)で、追跡期間に319件の致命的な心血管イベントが発生した。成人期の致命的な心血管イベントのハザード比は、zスコアが単位増加につき、総コレステロール値1.30から若年期の喫煙 1.61であった。複合リスクzスコアに関する致死的心血管系イベントのハザード比は、2.71であった。
致死的心血管系イベントの解析におけるハザード比は、評価可能であった20,656人の中で発生した779件の致死的または非致死的心血管系イベントの解析におけるハザード比と同様であった。成人の危険因子に関するデータを有する13,401人のサブグループで発生した115件の致死的心血管系イベントの解析では、小児期の複合リスクzスコアに関する調整ハザード比は単位増加あたり3.54、また小児から成人への複合リスクzスコアの変化に関する相互調整ハザード比は単位増加あたり2.88であった。524件の致死的または非致死的な心血管系イベントの解析でも同様の結果が得られた。
結論:この前向きコホート研究において,小児期の危険因子および小児期と成人期の複合リスクzスコアの変化は,中年期の心血管イベントと関連していた。

内容の解釈と要約

本研究により、大規模なサンプルを用い、5つの代表的な心血管危険因子(BMI、TC、TG、sBP、若年喫煙)に関する小児期から成人期までの前向きデータで、小児期の危険因子と40歳という早い時期に始まる成人の心血管イベント発症の関連性を示すことができた。

小児における心血管イベントはまれであるが、剖検では、脂質異常症、血圧上昇、喫煙と関連した若年者の大動脈および冠動脈の広範な組織学的アテローム性硬化病変が示されている。

各危険因子が成人の心血管イベントと関連。危険因子を組み合わせたものが、単独の危険因子よりも強い関連。

38,589人の参加者のうち、平均的な子供の危険因子レベルに相当するzスコアの組み合わせが0以上だった59.9%は、zスコアが最も低いカテゴリー-0.5未満だった人と比べて心血管イベントのリスクが高まる。

小児期の複合リスクzスコアに関する致死的または非致死的イベントのハザード比は、成人年齢が高くなるにつれて減少した。

心血管リスクの評価は小児期に始めるべきである。小児期から成人期にかけてのリスク因子レベルの低下は、早期の心血管疾患の発生率を低下させる可能性がある。

学内で下記のことが話し合われました。
・患者さんに、早期の評価や介入の必要性の根拠となる。
・小児期に肥満があり、成人になって痩せた人でも将来の心血管イベントのリスクが高いということは早期の介入の必要性を示していると思われる。
・県内でも学生検診のデータを収集して現状把握をすることが重要である。

発表者:峰松 先生、文責 横井

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