論文解説:Assessment of the Diagnostic Yield of Combined Cardiomyopathy and Arrhythmia Genetic Testing -心筋症と不整脈を一体化した遺伝子検査-

JAMA Cardiol. 2022;7(9):966-974. doi:10.1001/jamacardio.2022.2455
Assessment of the Diagnostic Yield of Combined Cardiomyopathy and Arrhythmia Genetic Testing
Lisa M. Dellefave-Castillo, MS; Allison L. Cirino, MS; Thomas E. Callis, PhD; Edward D. Esplin, MD, PhD;
John Garcia, PhD; Kathryn E. Hatchell, PhD; Britt Johnson, PhD; Ana Morales, MS; Ellen Regalado, PhD;
Susan Rojahn, PhD; Matteo Vatta, PhD; Robert L. Nussbaum, MD; Elizabeth M. McNally, MD, PhD

今回の抄読会では、心筋症と不整脈を一体化した遺伝子検査に関する論文が取り上げられました。

キーワード:遺伝子診断、心筋症、不整脈

循環器領域における遺伝子の研究は急速に進んでいます。
その解釈にあたっては、疾患群に特異的な遺伝子パネルを使用することが多いのが現状です。
本研究では、心筋症と不整脈の遺伝子多型を一体化して評価することの、臨床的意義を検討しています。

対象は遺伝性の心筋症や不整脈を疑われた4782例で、各疾患の遺伝子多型を同定しています。
954例の遺伝子多型を認めた方のうち、大部分は、臨床医が疑っている疾患と、疾患の原因遺伝子は一致していました。しかし、10%程度の症例では疑われていなかった診断が、遺伝子を用いることで辿り着くことができています。
他に以下のような点が指摘されています。

・630/954例(66%)は、集中的なモニタリングを要したり、薬剤やデバイス等の加入変更が必要。
・279/954例(29%)で、問題となる臨床転帰を辿る。
・特に、HCMを疑われた若年者ほど、診断への寄与が大きい。

本論文の結果、心筋症と不整脈の遺伝子多型を一体化して評価することの、臨床的なメリットが示されています。


●本論文のwhat new
これまで同定され難かった循環器疾患の拾い上げが可能となる。
より多くの遺伝子多型を同定し、治療のマーカーやターゲットとして利用することで、実臨床にメリットがある。

●発表後のディスカッションについて
ラミニン・タイチンについて
医療経済の面から見る、今後の遺伝子診断の発展について
これから求められる、遺伝子診断に関するリテラシー
ゲノムデータと臨床データの橋渡しの重要性

発表:新里先生, 文責:吉岡

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