【論文解説】Barlow病の僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術について

Simple repair approach for mitral regurgitation in Barlow disease

Sagit Ben Zekry, MD, Dan Spiegelstein, MD, Leonid Sternik,MD, Innon Lev, MD, Alexander Kogan, MD, Rafael Kuperstein, MD, and Ehud Raanani, MD

The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery, 2015 Nov; 150(5):1071-1077

「変性性僧帽弁閉鎖不全症(Degenerative mitral regurgitation, DMR)」は、重症の僧帽弁閉鎖不全症(MR)において最も頻度が多い成因と言われています。A C C/A H Aガイドラインでは治療として僧帽弁形成術が推奨されています。弁膜症治療のガイドライン(2020年改訂版)においても重症一次性MRは僧帽弁形成術が推奨されています。弁形成術が技術的に困難な症例や硬化の強いリウマチ性、弁輪石灰化の強い透析例は僧帽弁置換術が選択されます。

本論文では、変性性MRの一つである「Barlow病(Barlow disease)」は、僧帽弁形成術を受けた患者の30%程度と記載されています。Barlow病の特徴的な僧帽弁の形態としては、過剰な弁の肥厚、複数の弁逸脱、著明な弁輪拡大、伸長した脆弱な腱索の所見が見られます。

本論文では、Sheba医療センターで2004年〜2014年に僧帽弁形成術を施行した変性性MR 572名の中から、僧帽弁輪縫縮術のみの手術を受けた24名のBarlow病群(Ring only群)を上記以外の僧帽弁形成術群(コントロール群、548名)と比較しています。

Ring only群では、主に僧帽弁の中央付近からの中等症〜重症のMRがあり、年齢は47±14歳とコントロール群より若い患者群でした。術後38±36ヶ月の長期成績では死亡0名、再手術0名でした。術後36±20ヶ月の心エコー検査では、中等度MRは1名、高度MRは0名とMRの再発は少なく、術後の機能的僧帽弁狭窄(MS)の出現はありませんでした。術中に収縮期僧帽弁前方運動(SAM)が7名出現しましたが、6名は術後にSAMが消失しました。

Barlow病のような粘液腫様性変性の僧帽弁の手術は複雑ですが、僧帽弁中央の逆流のみが生じているBarlow病では僧帽弁輪縫縮のみの手術でも術後長期成績が良好であったことを報告しました。弁を切除しない場合は、術後の機能的M Sや術後SAMの出現に注意が必要です。

「僧帽弁輪縫縮術」は、弁輪リングの縫着により弁輪を縮小して僧帽弁の位置を元の状態に戻します。弁が閉鎖して左室心尖部に押し下がられて、僧帽弁輪より下の位置で弁が接合するという効果が得られるため、僧帽弁輪縫縮の単独手術でも逆流が制御できたと考察しています。

発表者、文責:坂本先生

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