論文解説:TAVI後の非心臓手術について  -Risk and Timing of Noncardiac Surgery After Transcatheter Aortic Valve Implantation-

Risk and Timing of Noncardiac Surgery After Transcatheter Aortic Valve Implantation
Taishi Okuno, MD; Caglayan Demirel, MD; Daijiro Tomii, MD; Gabor Erdoes, MD, PhD; Dik Heg, PhD; Jonas Lanz, MD, MSc; Fabien Praz, MD; Rainer Zbinden, MD;David Reineke, MD; Lorenz Räber, MD, PhD; Stefan Stortecky, MD; Stephan Windecker, MD; Thomas Pilgrim, MD, MSc
JAMA Network Open. 2022;5(7):e2220689.

TAVI後の非心臓手術のタイミングについての論文が紹介されました。
当院でも増えつつある、TAVI後の非心臓手術の現状を踏まえてのテーマ設定です。

1)背景
術前にAVRを行うかどうか、症例毎にリスク評価を行うことが求められています。
ESCのガイドラインでも、症候性のASで、SAVR or TAVARのリスクが低い場合、弁膜症治療の先行が推奨されています。本邦のガイドラインでも、同様の方向性が示されています。実際の手術後のイベントに注目したstudyは限られているのが現状です。

2)方法/結果/考察
スイスからの研究報告で、2238例のTAVI症例のうち、300例の非心臓手術を施行した方を対象に解析を行っています。
評価する主要複合エンドポイントは、30日以内の死亡・脳梗塞・心筋梗塞・重症の出血です。
平均年齢は81.8歳、女性が48%で、30日以内の手術が63/300例で行われています。160例が待機手術、140例が緊急手術でした。脳神経・整形手術が32.7%と最多で、他に体表の手術等が続きます。

30日以内の主要複合エンドポイントは58名で発生しています。エンドポイント発生の有無により、ベースラインの統計学的な有意差は認めらませんでした。解析の結果では、30日以内の早期手術は有意な因子ではありませんでした。しかし、中等度以上のprosthesis-patient mismatch・弁周囲逆流が主要エンドポイントの独立した危険因子でした。

発表後の討議として、以下のようなポイントで行われました。
・TAVI術後の抗血小板剤等の現状に関して
・PPMに関しての捉え方
・手術のタイミングと、術後イベントの関係について

                          発表:陳先生、文責:吉岡


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