論文解説【非閉塞左冠動脈主管部狭窄が予後に与える影響】Impact of Non-obstructive Left Main Coronary Artery Atherosclerosis on Long-Term Mortality

Impact of Non-obstructive Left Main Coronary Artery Atherosclerosis on Long-Term Mortality
Masahiko Noguchi, MD, PHD,a,b,c Fotios Gkargkoulas, MD,a,b Mitsuaki Matsumura, et al.
J Am Coll Cardiol Intv. 2022 Nov, 15 (21) 2206–2217


左冠動脈主管部(LMCA)のアテローム変化と心事故発生の関与は以前より報告されています。
しかし、非閉塞性アテローム変化と長期予後に関しては報告は限られています。
今回の論文では、このテーマを取り上げて、IVUS所見を交えて検討されています。

目的:本研究の目的は、IVUSによるLMCAのアテローム性変化と長期死亡率との関連性を評価することです。
方法 :2005年から2013年にかけて、LMCA血行再建術を行わずLMCAのIVUSを行った患者3,239人を対象としています。主要および副次的エンドポイントは、5年間の全死亡率および心臓死亡率。

結果:追跡期間中央値は8.2年。Kaplan-Meier法による12年間の全死亡・心臓死はそれぞれ37.5%と17.0%でした。解析の結果ではプラーク量・IVUSでのMLAが小さいことは、長期の全死亡と関連していました。これらの知見は、長期的な心臓死についても同様の結果でした。

結論:12年間の追跡を行った本研究では、LMCA動脈硬化は、長期的な全死亡と関連していました。LMCA血行再建術を受けていない患者では、内腔面積が保たれていても、LMCAプラーク負荷の増加が長期的な全死亡および心臓死と関連することが示さました。

発表後のdiscussionとしては、以下のような内容が取り上げられました。
・このLMCA動脈硬化の評価をどのように行うか
・どのような治療が可能なのか(本文中にあるPCSK9阻害薬やコルヒチンなどに言及)
・そもそもの死亡原因が明確でない研究であり、更なる報告が望ましい
・想像以上にイベントが多い
・リスクがある症例として、脂質管理のあり方の再検討が必要

発表:園田先生    文責:吉岡

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