【論文解説】持続性心房細動に対する、MRIガイドによる線維化アブレーションの効果:Conventional アブレーションとのランダム化比較試験より(The DECAAF II Randomized Clinical Trial)

Nassir F. Marrouche, MD; Oussama Wazni, MD; Christopher McGann, MD; Tom Greene, PhD; J. Michael Dean, MD; Lilas Dagher, MD; Eugene Kholmovski, PhD; Moussa Mansour, MD; Francis Marchlinski, MD; David Wilber, MD; Gerhard Hindricks, MD; Christian Mahnkopf, MD; Darryl Wells, MD; Pierre Jais, MD; Prashanthan Sanders, MD; Johannes Brachmann, MD; Jeroen J. Bax, MD; Leonie Morrison-de Boer, MD; Thomas Deneke, MD; Hugh Calkins, MD; Christian Sohns, MD; Nazem Akoum, MD; for the DECAAF II Investigators

JAMA. 2022;327(23):2296-2305. doi:10.1001/jama.2022.8831

今回の抄読会では心房細動治療におけるMRIの有用性に関する論文が取り上げられました。

心房細動の持続に関与すると要素の一つとして、心房線維化が提唱されています。この線維化の評価には様々な方法があり、MRIはその一つです。今回の検討では、MRIを用いて同定した線維化をtargetとしたAFアブレーションの有効性を検討した論文です。

目的:持続性心房細動において,心臓MRI検査で検出された心房線維化を標的としたカテーテルアブレーションが,心房細動再発の抑制にどの程度有効で,どの程度有害事象があるかを評価する。
方法:多施設無作為臨床試験で、10ヵ国の44の学術施設および非学術施設が参加。症候性または無症候性の持続性心房細動で心房細動治療を受けた843例を組み入れ。その後、肺静脈隔離術(PVI)+MRIガイド下心房線維化アブレーション(421例)、またはPVI単独(422例)に無作為に割り付けた。両群ともアブレーション施術前に遅延造影評価目的にMRIを実施し、またアブレーション後3ヵ月目にも瘢痕を評価するためにMRIを施行した。
主要エンドポイントは90日間以降の、最初に心房性不整脈が再発するまでの時間とした。セーフティーエンドポイントはアブレーション後30日以内の脳梗塞、肺静脈狭窄、 出血, 心不全, 死亡のうち1つ以上が発生とした。
結果:心房性不整脈の再発は両群間に有意差はなかった(MRI+PVI群175例[43.0%] vs. PVI単独群188例[46.1%]。ハザード比[HR]、0.95 [95% CI, 0.77-1.17]; P = 0.63)。MRI+PVI群 vs. PVI群0、P = 0.001)。P = .001). 線維素誘導焼灼術+PVI群では6例(1.5%)に虚血性脳卒中が発生した。脳卒中が発生した患者は、PVIのみの群では皆無であった。死亡は線維素誘導焼灼術+PVI群で2例発生した。死亡は2例で、1例目は手技に関連していた可能性がある。
結論:MRIガイド下心房線維化アブレーションは通常アブレーションと比較して、心房細動再発においては有意な差はない。

ディスカッション内容として
①MRIによる線維化評価には限界がある可能性あり。
②心筋病理による評価が病態生理評価に有用である。
③Negativeなデータを発表していく事も、科学的アプローチの大切な要素。

発表者 山口先生、文責 吉岡

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