【論文解説】ゲノムプロファイルを用いた、アブレーション後再発のリスク層別化について

GJA1 gene polymorphism is a genetic predictor of Q2 recurrence after pulmonary vein isolation in patients with paroxysmal atrial fibrillation
Sho Okamura, MD, PhD,* Hidenori Ochi, MD, PhD,†‡ Yuko Onohara, BE,* Mika Nakashima, BE,* Rie Akiyama, BE,* Takehito Tokuyama, MD, PhD,* Yousaku Okubo, MD, PhD,* Yoshihiro Ikeuchi, MD,* Shunsuke Miyauchi, MD,* Shogo Miyamoto, MD,* Naoto Oguri, MD,* Yukimi Uotani, MD,* Yodo Odake, MD,* Kazuaki Chayama, MD, PhD,‡ Yasuki Kihara, MD, PhD,x Yukiko Nakano, MD, PhD*
2022 Aug 28;S1547-5271(22)02370-0

ゲノムプロファイルを用いた、アブレーション後再発のリスク層別化について、広島大学より報告された論文を今回取り上げられました。

心房細動のリズムコントロールの中で、アブレーション治療は唯一最良の治療法として発展してきました。8割を占める肺静脈起源とされ、それをtargetとした肺静脈隔離が一般的な手技です。しかし、治療後の再発に関しては現在も重要な臨床的問題の一つで、様々な再発のリスク因子が報告されています。その中で、ゲノムプロファイルを用いた心房細動治療におけるリスク因子が同定されています。本論文では、これまでGWASで同定された心拍数に関わるSNPsとアブレーション後の再発との関連を検討されています。

単施設でRFCAを行ったPAF症例が対象となっています。ゲノムタイプ(GJA1変異のタイプ)で3群に分けて、比較を行っています。患者背景に顕著な差はありませんが、KMカーブではHomozygous typeの遺伝子変異を示すグループ(CC)が最も再発が多く、TC typeも次いで再発が多い結果でした。また、遺伝子変異群ではPV再伝導によるAF再発が多い結果でした。

多変量解析の結果からはNon-PVに加えて遺伝子変異も有意な予測因子であることが示されました。将来的には、採血を行って遺伝子変異を評価することで、方針の決定に寄与できる可能性があるかもしれません。

Non-PVに関しては再発への影響が大きすぎるため、supplementary fileでサブグループとしてNon-PVを除いた群で同様の解析が行われていますが、main resultと同様の結果でした。また、Homo typeの遺伝子変異を示すグループでは、心房内伝導時間が短い結果で、『遺伝子変異が再発にどのように関わっているのか』を検討するのに重要な情報だと考えられます。

研究の限界としては単施設後ろ向きで、かつ日本人のみを対象とした研究である点、遺伝子変異がどのように作用しているかの検討が不十分である点が示されています。

発表後の質疑応答としては、以下のような内容で検討が行われました。
・AF発症、再発の病態生理について
・心房細動自体の発症に関わる遺伝子変異に関して
・今回取り上げられているGJA1変異が、どのように再発に関わっているか。

発表者:中島、 文責:吉岡

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