【ガイドライン紹介】PCPS/ECMO/循環補助用心内留置型ポンプカテーテルの適応・操作

2023 年 JCS/JSCVS/JCC/CVIT ガイドラインフォーカスアップデート版

PCPS/ECMO/循環補助用心内留置型ポンプカテーテルの適応・操作

本郷先生が、機械的補助循環(MCS)についてのガイドラインを紹介しました。

MCSについては、海外ではPCI時のsupport deviceとして使用されているが、本邦ではその適応はない。治療抵抗性の心源性ショックやAMIの心源性ショックについて効果があるとされ、適応疾患となっている。MCS自体が、エビデンスを構築する試験が行いにくく、クラスⅡbとされているものが多い。

IMPELLAについては、2020年までに本邦では800例以上のIMPELLA仕様があるが、適応や使用方法など、まだ発展途上の治療であると考えられる。出血性合併症が多いとの報告もある。今後もデータの蓄積・解析が必要と考えられる。劇症型心筋炎への仕様については、ECMOとの併用(ECPELLA)で6-7割の生存退院が得られたとの報告もある。開心術後の心源性ショックにもECPELAAが使用されることがある。また、循環動態が不安定なVTアブレーション時に使用することも有用と言われている。

血行動態の評価について、明示された方法はない。30分以上収縮期血圧が90mmHg未満であったり、心係数が2.2未満などを基準としてMCSが検討される。心源性ショックを疑う場合は右心カテーテル検査などを行って判断する。左心機能の評価については、心エコーやスワンガンツカテーテルを、右心機能の評価はPAPIや、心エコーでの右心系指標などを参考する。

米国心血管インターベンション学学会(SCAI)の心源性ショックにおけるステージ分類と全身状態の関係の図が有用である。IMPELLAはStage BやCのプレショックから、ECMOよりも早めに使うことを考慮する。Stage BはAMIではLAD近位部病変や、血圧が低下する、頻脈であるなど、容易にStage Cに移行しそうな状況が適応である。

Stage C、Dの治療では、低灌流・うっ血の所見から、ECMOかIMPELLAかを検討するが、IMPELLAの場合は右心機能が低下していればECMO追加する。StageEは、ECMOが第一選択で低灌流状態があればIMPELLA追加が必要である。

North-south syndromeは、自己肺の酸素取り込みが低下している場合に、自己心から拍出される自己肺で酸素化された血液が脳へ循環することで、中枢神経系の低酸素を引き起こす状態で注意が必要である。

フロアからは、central ECMOの位置付け、当院でのIMPELLA使用成績、などの質問がありました。

発表:本郷先生、文責:矢島

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