【論文解説】ONCO PE試験:低リスクPEがん患者の抗凝固療法はどこまで継続すべき?

Circulation. 2024 Nov 18.
Rivaroxaban for 18 Months Versus 6 Months in Patients With Cancer and Acute Low-Risk Pulmonary Embolism: An Open-Label, Multicenter, Randomized Clinical Trial (ONCO PE Trial)

低リスク肺塞栓症(PE)を有するがん患者における最適な抗凝固療法の期間は明確ではありません。本試験では、18か月間のリバーロキサバン治療が6か月間の治療と比較して静脈血栓塞栓症(VTE)の再発予防を検証しています。

32施設の多施設共同ランダム化試験で、活動性がんを有し、sPESI(簡易版肺塞栓重症度指数)スコア1の急性低リスクPE患者178名を対象としました。患者は1:1の割合で、18か月間または6か月間のリバーロキサバン治療群に割り付けられました。主要評価項目は18か月間のVTE再発率、副次的評価項目は国際血栓止血学会(ISTH)の基準に基づく大出血発生率です。

結果

  • VTE再発率: 18か月群では5.6%(5/89例)、6か月群では19.1%(17/89例)であり、18か月治療は6か月治療に比べて有意にVTE再発を抑制しました(オッズ比0.25、95%信頼区間0.09–0.72、P=0.01)。
  • 大出血発生率: 18か月群で7.8%(7/89例)、6か月群で5.6%(5/89例)で、両群間に有意差は認められませんでした(P=0.55)。
  • 再発VTEの内訳では、PEが11例(主肺動脈PEが2例、葉間PEが4例)、深部静脈血栓症(DVT)が11例含まれていました。

本研究では、18か月間のリバーロキサバン治療は、がん患者の低リスクPEにおいてVTE再発率を有意に低下させる一方で、大出血リスクの有意な増加は認められませんでした。この結果は、抗凝固療法の延長が再発VTE予防において有益である可能性を示唆します。ただし、がん進行や出血リスクがある患者に対する個別化治療が求められます。

 発表・文責  吉岡

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