【論文解説】閉塞性HCM患者に対するアフィカムテンの効果・安全性は?

N Engl J Med.  2024 May 30;390(20):1849-1861.
Aficamten for Symptomatic Obstructive Hypertrophic Cardiomyopathy

今回取り上げられた論文は、閉塞性肥大型心筋症(HCM)に対する治療薬アフィカムテンの有効性と安全性を評価したものです。HCMは遺伝性心疾患であり、左心室流出路の閉塞によって運動耐容能の低下や症状が引き起こされます。アフィカムテンは、心筋ミオシンの選択的阻害剤であり、心筋の過収縮性を軽減することで左心室流出路の圧力較差を低減させます。

この研究は、二重盲検無作為化プラセボ対照第3相試験としてデザインされ、症状(NYHAⅡ-Ⅲ)を有する成人の閉塞性HCM患者282名を対象に行われました。患者はアフィカムテン群(142名)とプラセボ群(140名)に分けられ、24週間の治療が行われました。主要評価項目は、24週間後の運動負荷試験における酸素摂取量の変化でした。

結果として、アフィカムテン群はプラセボ群に比べ、酸素摂取量の有意な増加が見られました(1.8 ml/kg/min 対 0.0 ml/kg/min)。また、アフィカムテン群は、二次評価項目であるNYHA機能分類の改善、左心室流出路圧力勾配の低下、KCCQ-CSSスコアの向上などでも有意な改善を示しました。副反応の発生率は両群で同等で、アフィカムテンの安全性が確認されました。

結論として、アフィカムテンは、閉塞性HCM患者において、運動能力および症状の大幅な改善をもたらし、安全に使用できる可能性が示されました。この研究結果は、閉塞性HCM治療における新たな治療選択肢として、アフィカムテンの有用性を支持するものです。

発表後は以下の内容で討議が行われました。

発表:平井先生   文責:吉岡

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