【論文解説】急性肺塞栓症の在宅治療の安全性は?:Safety of treating acute pulmonary embolism at home: an individual patient data meta-analysis

Safety of treating acute pulmonary embolism at home: an individual patient data meta-analysis
European Heart Journal, ehae378,

今回は、急性肺塞栓症の自宅治療の安全性に関する個別患者データメタ分析に関する論文が取り上げられました。

背景:急性肺塞栓症(PE)の自宅治療は、特定のトリアージツールを使用して選別された患者において安全であると考えられています。しかし、一部のサブグループにおける適用可能性については不確実性が残ります。本研究の目的は、個別患者レベルのデータメタ解析を元に、自宅治療の安全性を評価することです。

方法 10の前向きコホート研究またはランダム化比較試験が特定し、合計2694人の自宅で治療されたPE患者が選ばれました。これらの患者は、事前に定義されたトリアージツールによって選別されています。14日および30日の全死亡率と有害事象(静脈血栓塞栓症再発性、重篤な出血、および全死亡率の複合エンドポイント)の発生率を評価しました。

結果 14日および30日の全死亡率はそれぞれ0.11%および0.30%でした。有害事象の発生率は、14日で0.56%(95%信頼区間0.28-0.84、I2=0)、30日で1.2%(95%信頼区間0.79-1.6、I2=0)でした。がん患者は30日死亡率が高く(相対リスク4.9;95%予測区間2.7-9.1;I2=0)、既存の心肺疾患、異常トロポニン高値、異常な(NT-pro)BNPは、14日間の有害事象発生率が高く(それぞれ相対リスク3.5、2.5、3.9;I2=0)、30日間でも同様に高い発生率を示しました。

結論 自宅で治療されたPE患者の有害事象の発生率は非常に低いことが確認されました。ただし、がん患者は有害事象および死亡率が3~5倍高く、トロポニンまたは(NT-pro)BNPが異常な患者は、有害事象のリスクが3倍高いことが分かりました。

発表後は以下の項目で討議が行われました。

・活動性がんの適宜は?
・活動性がん症例は、どのような原因で死亡するのか?

発表・文責 吉岡

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