【論文解説】心筋梗塞によるショックに対してインペラの効果は? :DanGer Shock試験

Microaxial Flow Pump or Standard Care in Infarct-Related Cardiogenic Shock
N Engl J Med. 2024 Apr 18;390(15):1382-1393.

DanGer Shock試験は、心原性ショックを伴う急性心筋梗塞患者(AMICS)において、経皮的左室補助装置であるImpella CPの有効性を評価するために実施されました。この多施設共同無作為化試験では、360人の患者を対象に、Impella CPを用いた治療群と従来のガイドラインに基づく治療群に1:1で割り付け、主要評価項目として180日間の全死亡率を比較しました。 

試験の結果、Impella CPを使用した群では、従来治療群と比較して180日間の死亡率が有意に低下し、特に収縮期血圧が低い患者や多枝病変を有する患者で顕著な効果が認められました。しかし、Impella CP群では出血や血管合併症、腎代替療法の必要性などの有害事象の発生率が高いことも報告されました。 

この試験は、AMICS患者における早期の機械的循環補助の有効性を示す重要なエビデンスとなり、今後の治療指針に影響を与える可能性があります。ただし、合併症のリスクも考慮し、患者ごとに適切な治療戦略を検討する必要があります。

          発表者 本郷先生   文責 吉岡

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