Determinants of invasive left atrial pressure in patients with atrial fibrillation
Andrea et al. European Heart Journal – Cardiovascular Imaging Published: 29 Jul 2024
目的
心房細動(AF)患者における左心室(LV)充満圧の推定は、信頼できるパラメータが不足しているため困難です。本研究は、心臓の構造および機能と侵襲的に測定された平均左心房圧(LAP)との関連性を調査することを目的としています。
方法と結果
この研究は、AFのカテーテルアブレーションを受ける患者を対象とした多施設共同前向き研究です。LAPの侵襲的測定は手技の際に行い、心エコー検査はその24時間以内に実施されました。平均LAPが15 mmHg以上とされた患者は、LAPが上昇していると判断されました。全体で101人の患者が対象となり(平均年齢65.8±8.5歳、男性68%、平均LVEF 56.6±8.0%)、LAPが正常な患者(n=47)と上昇している患者(n=54)との間で臨床的特徴に有意な差は見られませんでした。LAPが上昇している患者群では、LVの全球縦方向ストレイン(LVGLS)が低く、左心房の体積(LAV)が大きく、右心室(RV)機能が悪化していました。多変量調整後、E/e’比(p=0.041)および最小LAV指数(LAVI min)(p=0.031)、ピーク心房縦方向ストレイン(PALS)(p=0.030)、RV自由壁ストレイン(p=0.037)が平均LAPと有意に関連していましたが、最大LAV指数(LAVI max)は関連がありませんでした(p=0.137)。これらの関連性は心臓リズムによって変更されませんでした。全体として、LAVI minはLAP上昇を予測する最も高い診断精度を示し(AUC 0.703)、LAVI minが22 mL/m^2を超える場合、LAP上昇の可能性が4倍に増加しました(p=0.002)。
結論
左心房の構造および機能の評価は、AF患者において平均LAPと良好に相関しており、これらの測定値はこれらの患者における充満圧の評価に使用できる可能性があります。
発表後は以下の項目で討議が行われました。
・左房容積と左房圧の関係は?
・左房容積は三次元で解析するべきなのか?
発表・文責 鍋嶋