【論文解説】左室機能障害症例へのPCIと、その後の不整脈死を減らすか? :REVIVED-BCIS2 Trialより

Arrhythmia and Death Following Percutaneous Revascularization in Ischemic Left Ventricular Dysfunction: Prespecified Analyses From the REVIVED-BCIS2 Trial
Circulation. 2023 Sep 12;148(11):862-871.

目次

【要約】

虚血性心疾患による左室機能障害患者において、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)+至適薬物・デバイス療法(OMT)群とOMT単独群を比較しています。700例を対象にしたランダム化試験です。全死因死亡または中止された突然死の発生率に有意差はありませんでした(PCI群41.6%、OMT群40.2%)。副次的アウトカムでも群間差は見られませんでした。本論文では、『PCIは全死因死亡または突然死の減少に寄与しなかった』と結論づけています。

<方法・結果>
重度の左室機能障害,広範な冠動脈疾患,生存心筋を有する患者を,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)+至適薬物・機器療法(OMT)群,またはOMT単独群に無作為に割り付けています。複合主要転帰は、最低24ヵ月後の全死因死亡または突然死(適切な植え込み型除細動器治療または蘇生による心停止と定義)としています。副次的アウトカムは、心血管死または中止された突然死、適切な植え込み型除細動器(ICD)治療または持続性心室性不整脈、適切なICD治療の回数などです。

2013年8月28日から2020年3月19日の間に、英国の40施設で700例が登録されています。合計347例がPCI+OMT群に、353例がOMT単独群に割り付けられました。参加者の平均年齢は69歳、88%が男性です。左室駆出率の中央値は28%で、53.1%に無作為化前または追跡期間中に植え込み型除細動器が挿入されていす。全死亡または突然死はPCI群で144例(41.6%)、OMT群で142例(40.2%)に発生し、主要アムトカム発生に群間差は認められませんでした(ハザード比、1.03[95%CI、0.82-1.30];P=0.80)。

【コメント】

この研究は、虚血性心疾患による左室機能障害患者におけるPCIの有効性を評価していますが、全死因死亡や突然死の減少には寄与する結果ではありませんでした。結果は、PCIがこの患者群において必ずしも有益でないことを示唆しています。ただし、サンプルサイズや追跡期間が結果に影響を与えた可能性もあり、さらなる研究の必要性も依然として残ります。

発表後は以下の内容で議論が行われました。
・日本、佐賀でのICDの導入の現状
・OMTの現状
・院内での一次予防の方針

発表:金子先生     文責:吉岡

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次