【論文解説】ブルガダ症候群患者におけるLRの意義とは?:BruLoop studyより

Eur Heart J. 2024 Apr 7;45(14):1255-1265.
Implantable loop recorders in patients with Brugada syndrome: the BruLoop study

ブルガダ症候群患者において失神の有無は心臓突然死による予後に関与する可能性があるといわれていますが、突然死予防のためのICDの一次予防(適切作動)効果は0.9%であるのに対して、合併症や不適切作動といったデメリットの問題もあります。ESC2022年のガイドラインではブルガダ症候群へのILRはClass 2aですが小規模研究にとどまっています。今回の論文はブルガダ症候群患者において植込み型ループレコーダー(ILR)を使用することで適切な患者選択および適切な不整脈への対応ができる可能性について、多施設共同研究が行われました。370名のBrS患者(平均年齢43.5歳、33.8%が女性)が対象となり、約3年間にわたりILRによる持続的なリズムモニタリングが行われました。結果、30.7%の症状のある患者で不整脈イベントが確認され、特に心房性不整脈(18.6%)や徐脈性不整脈(10.2%)が多く、意外にも心室性不整脈は7.3%と少数でした。また、失神の再発がある患者の22.4%が不整脈に起因するもので、特に徐脈性不整脈が多くを占めました。ILRのモニタリングにより、患者の70%で薬物治療、アブレーション、ペースメーカーまたは除細動器の植込みが行われました。最終的に、ILRはBrS患者において不整脈の検出に有用であり、特に症状がある患者において適切な治療を導く重要な手段となるのではないかという結論になっています。

https://academic.oup.com/eurheartj/article/45/14/1255/7623123

この論文を通して以下のような議論が行われました。
・今回のBrugada症候群の診断基準は何に基づいているか?
・「原因不明の失神」とは、どこまで心原性失神を疑わない患者群を含んでいるのか?
・実際にBrugada症候群患者が失神していた場合、本当に突然死予防作用のないILRで経過を見ていいものか?電池寿命的にも3年のフォローで十分と言えるのか?

発表・文責 鶴田

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