【論文解説】パルスフィールドアブレーションの有効性

Circ Arrhythm Electrophysiol. 2024 Dec;17(12):e013088.
Pulsed Field Ablation as First-Line Therapy for Atrial Fibrillation: A Substudy of the EU-PORIA Registry

この研究は、欧州の多施設リアルワールドレジストリ「EU-PORIA」に基づき、心房細動(AF)に対する初回治療としてのパルスフィールドアブレーション(PFA)の有効性を検討したものです。

背景:
近年、カテーテルアブレーションはAFの進行を抑制する有効な治療法と認識され、抗不整脈薬(AAD)治療の失敗を待たずに適用される傾向が強まっています。しかし、PFAを第一選択として使用した場合の実臨床データは限られています。

方法:
EU-PORIAレジストリでは、ヨーロッパの7つの高ボリュームセンターでPFA治療を受けた1233人のAF患者を登録。そのうち1091人を解析対象とし、①AADを使用した既往のある患者(502人)と、②AAD歴のない初回治療としてPFAを受けた患者(589人)に分類。治療は各施設の標準的なプロトコルに基づき行われ、1年間の追跡調査を実施しました。

結果:

  • 平均年齢66歳、女性40%、持続性AF 36%
  • PFAを第一選択としたグループでは発作性AFの割合が高く(68% vs 59%、P<0.001)、肺静脈隔離(PVI)のみの施行割合も高かった(93% vs 86%、P<0.001)。
  • 1年後のAF/心房頻拍の再発抑制率は、PFAを第一選択とした群で78%、AAD使用後にPFAを受けた群で74%と、有意差はなし(P=0.076)。
  • 手技時間はPFA初回群で短縮(45分 vs 65分、P<0.001)。
  • 重大合併症は1.6%(PFA初回群1.0%、AAD+PFA群2.2%)。

結論:
PFAを初回治療として使用しても、AAD治療後にPFAを受けた場合と同等の有効性が確認され、安全性も高いことが示されました。この結果は、AFの第一選択治療としてPFAの適用を支持するものとなります。

            発表:新里先生     文責:吉岡

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