【論文解説】がん治療関連心筋障害 心エコーを用いた抗がん剤の心毒性に対する心保護治療介入について −SUCCOUR trial―

Strain-Guided Management of Potentially Cardiotoxic Cancer Therapy

Paaladinesh Thavendiranathan, MD, SM, Tomoko Negishi, MD, Emily Somerset, MS, Kazuaki Negishi, MD, PHD, Martin Penicka, MD, PHD, Julie Lemieux, MD, MSC, Svend Aakhus, MD, PHD, Sakiko Miyazaki, MD, Mitra Shirazi, MD, Maurizio Galderisi, MD, PHD, Thomas H. Marwick, MBBS, PHD, MPH, on behalf of the SUCCOUR Investigators

JACC, 2021 Feb.2;(77):392-401

がん治療関連心筋障害についての論文を兼田先生が紹介してくれました。

アントラサイクリン系薬剤による心筋障害について、心エコー評価を行って左心系障害にフォーカスした論文です。

アントラサイクリン系薬剤での治療を受けた患者331例を、心エコーでGLSをガイドにする群と、E Fをガイドにする群に割り付け、それぞれ機能が低下した時点でACE阻害薬もしくはARB、β遮断薬での心保護治療を開始して経過を観察しています。心エコーは、投与前と3ヶ月ごとに施行、LVEF<55%を異常と定義し、心保護治療開始は、GLSガイドではGLSの12%以上の相対的低下が見られた時、EFガイドでは、症候性であれば5ポイント以上低下した時、無症候性では10ポイント以上低下かつEF<55%としています。

331例のうち、94%が女性、91%が乳がん患者でした。2割程度がLVEF<55%となりましたが、GLSガイド群、EFガイド群で1年後のEF低下に有意差はありませんでした。GLSガイド群では心保護治療導入が多く、がん治療関連心筋症がいの発生率は低い結果となり、57%の相対リスク低下が見られました。心保護治療導入患者同士の2群間での比較では、GLSガイド群で1年後のE F低下が少ない結果となったため、GLSガイドでの経過観察及び心保護治療導入を検討しても良いかもしれないとまとめられています。

フロアからの質問・コメントとして以下のようなものがありました。

・アントラサイクリン系薬剤の使用で何%に心筋障害が出るのか?

 →投与量依存的であると報告されており、割合は明示されていない。

・アントラサイクリン系薬剤の使用にあたって、ルーチンで心保護治療も行うという議論はあるのか。  

→現時点ではそのような検討はないようである。特に抗がん剤治療中であれば、心保護薬使用による副作用も注意が必要であり、全ての例に考えずに導入するということは避け、個別の検討が重要と思われる。

発表:兼田先生、 文責:矢島

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