【論文解説】ICDおよびCRT-Dによる心臓突然死の予防において、日本人と欧米人の間で有意差なし(HINODE試験)

Primary results from the Japanese Heart Failure and Sudden Cardiac Death Prevention Trial (HINODE)

Aonuma K, Ando K, Kusano K, Asai T, Inoue K, Inamura Y, Ikeda T, Mitsuhashi T, Murohara T, Nishii N, Nogami A, Shimizu W, Beaudoint C, Simon T, Kayser T, Azlan H, Tachapong N, Chan JY, Kutyifa V, Sakata Y; HINODE Investigators.

ESC Heart Fail. 2022 Jun;9(3):1584-1596.

背景として、日本での1次予防での植込み型除細動器(ICD)および両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植え込み率が欧米と比較して低い。HINODE試験は、日本におけるICDおよびCRT-D治療の現状を把握し、日本人患者の心室性不整脈および死亡率イベントの割合を分析し、欧米人患者と比較することを目的としている。

日本で行われている治療法に準じて治療法を決定した後、患者を前向きに4つのコホートに分類した。(i)ICD、(ii)CRT-D、(iii)非植え込み(ND)、(iv) ペーシング(ペースメーカーまたはCRT-P)。ICDとCRT-Dコホートを合せたHigh-voltage(HV)コホートを、MADIT-RIT試験の同群との1:1のプロペンシティ・スコア・マッチングを行った。

354人の患者が登録され、19.6±6.5ヵ月の追跡調査が行われた。24ヶ月での生存率はHINODE試験89%, MADIT-RIT 試験92%(P = 0.29)、心室性不整脈の非イベント発生率はHINODE試験92%, MADIT-RIT試験94%(P = 0.61)であり、カプランマイヤーで両群間に差はなかった。ペーシング群での死亡率は,ペースメーカー植え込み群(26%)で、CRT-P群(8.4%)よりも高かった(P = 0.05)。

結論として、日本における一次予防の植え込み適応患者における死亡率と心室性不整脈イベント発生率は、欧米におけるMADIT-RIT試験の結果と同様であり、日本人にも適用可能であることが示唆された。さらに本研究では、ESCガイドラインに示された治療を受けなかった患者の転帰は、MADIT-RITで報告された転帰より悪いことが明らかになった。

その他、心臓電気生理学的検査(EPS)での心室頻拍(VT)や心室細動(VF)誘発性は、心室性不整脈または死亡率の発生率増加に有意差が無いことが確認された。

文責:大坪  発表者:金子

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