【論文解説】院外心停止患者での公共のAED使用と神経学的予後について

Public-access defibrillation and neurological outcomes in patients with out-of-hospital cardiac arrest in Japan: a population-based cohort study

Takahiro Nakashima, Teruo Noguchi, Yoshio Tahara, Kunihiro Nishimura, Satoshi Yasuda, Daisuke Onozuka, Taku Iwami, Naohiro Yonemoto, Ken Nagao, Hiroshi Nonogi, Takanori Ikeda, Naoki Sato, Hiroyuki Tsutsui, for the Japanese Circulation Society with Resuscitation Science Study Group*

The Lancet, 2019 Dec.21/28;(394):2255-2262

院外心停止患者では、公共のAED使用の80%以上が安定した循環回復には至っていない状況です。このような患者での神経学的及び生命予後の評価を行った論文です。

2005年から2015年の日本での院外心停止患者での全国的なコホートスタディです。 28019人の院外心停止患者では、バイスタンダーからCPRを受けていました。このうち病院到着までに循環再開に至らなかったのは、CPRと公共のAED併用の患者で2242人(8.0%)、CPRのみの患者で5087人(89.5%)でした。神経学的予後は、公共のAED使用群845人(37.7%)と未使用群5676人でオッズ比1.45で明らかに公共のAED使用群で良い結果した。30日後の生存についても、987人(44.0%)と7976人(31.8%)で有意に公共のAED使用群で多い結果でした。AEDの使用により短時間でも脳循環が得られたことが、これらの結果につながっているのではという考察です。

また、スポーツ中の心停止についてのフランスからの論文も紹介してくれました。スポーツ関連の心停止は予防自体が難しく、現場にいた人の処置のみが予後を大きく左右しており、非医療者のCPRやAEDの使用が非常に重要と考えられました。

・COVID-19流行下において、一般の方向けのCPR講習やAED講習が減っている状況にあり、これらの再開が重要である。

・公共のAEDの設置とともに、いかにこれにアクセスできるかが大事であり、設置場所をわかりやすくする工夫が必要である。

などの意見が出ました。

発表者:田栗先生、文責:矢島

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