【論文解説】リポ蛋白(a)によるアテローム性プラークの進展

Association of Lipoprotein(a) With Atherosclerotic Plaque Progression

Yannick Kaiser, MD,a, * Marwa Daghem, MD,b, * Evangelos Tzolos, MD,b Mohammed N. Meah, MD,b Mhairi K. Doris, MD, PHD,b Alistair J. Moss, MD, PHD,c Jacek Kwiecinski,d Jeffrey Kroon, PHD,e Nick S. Nurmohamed, MD,a,f Pim van der Harst, MD, PHD,g Philip D. Adamson, MD, PHD,b,h Michelle C. Williams, MD, PHD,b Damini Dey,i David E. Newby, MD, PHD,b Erik S.G. Stroes, MD, PHD,a Kang H. Zheng, MD, PHD,a Marc R. Dweck, MD, PHDb

J Am Coll Cardiol 2022;79:223–233

今回は脂質関連の論文が取り上げられました。
リポ蛋白(a)は冠動脈疾患の独立した予測因子として知られており、残余リスクとして現在も研究が進んでいます。

今回の研究はLp(a) がプラークの進行と関連しているか調査しています。抗血小板剤に関するDIAMOND研究のデータを使用して行われています。
冠動脈CTを受けた安定冠動脈疾患患者のLp(a)を測定し、ベースラインと12ヶ月目に冠動脈CTを行い、特に全プラーク、石灰化プラーク、非石灰化プラーク、low-attenuation プラークの進行度を評価しています。高Lp(a)はLp(a) 70mg/dLと定義されています。
肥満度、ASSIGNスコア(年齢、性別、喫煙、血圧、総コレステロール、HDLコレステロール、糖尿病、関節リウマチ、貧困指数等からなるスコットランド心血管リスクスコア)を調整し、Lp(a)とプラーク進行の関係を評価しています。
結果としては Lp(a)が高値の患者では、低Lp(a)群に比べlow-attenuationプラークの進行が早いことが示されました(26.2±88.4 mm3 vs 0.7±50.1 mm3; P 1⁄4 0.020)。多変量線形回帰分析でも、Lp(a)とlow-attenuation プラーク体積の進行が確認されています。また総プラーク量、石灰化プラーク量、非石灰化プラーク量の進行には差がありませんでした。

今回の結果から、Lp(a)は冠動脈の低吸収プラークの進行を促進することが示され、Lp(a)と心筋梗塞の高い残存リスクとの関連を説明するものと考えられます。そして心筋梗塞の残存リスク・動脈硬化の治療ターゲットとしてのLp(a)のエビデンスを補完すると締めくくられています。

Limitationが複数あり、特に白人以外での再評価、多施設の検討、非動脈硬化性疾患での追試が必要だと記載されています。

発表後のディスカッションとしては
・LDLコレステロールと独立した因子である、病態生理的な説明は何か
・介入する場合の薬剤に関して、特にスタチン とPCSK9阻害薬
・プラーク解析に関するテクニカルな問題、現在のトレンドに関して議論が行われました。

文責:吉岡  発表:多胡先生

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