【論文解説】心臓サルコイドーシスのリスク層別化研究:ILLUMINATE-CS registryについて

Risk stratification of patients with cardiac sarcoidosis: the ILLUMINATE-CS registry
Takeru Nabeta, Takeshi Kitai, Yoshihisa Naruse, Tatsunori Taniguchi, Kenji Yoshioka, Hidekazu Tanaka, Takahiro Okumura, Shuntaro Sato, Yuichi Baba, Keisuke Kida, Yodo Tamaki, Shingo Matsumoto, Yuya Matsue
Eur Heart J . 2022 Sep 21;43(36):3450-3459.

本研究は、心臓サルコイドーシス(CS)患者の予後と予後因子を評価している。
2016年日本循環器学会基準または2014年Heart Rhythm Society基準に基づいて2001年から2017年の間にCSと診断された患者を対象としている。

・日本循環器学会基準:臨床診断が示されており、組織診断が必須ではない
・Heart Rhythm Society基準:組織診断が必要

主要評価項目は、全死亡、心不全による入院、記録された致死性心室性不整脈イベント(FVAE)の複合とした。512名の登録患者のうち、中央値1042日(四分位範囲:518~1917日)の追跡期間中に148件の複合イベント(心不全による入院56件、FVAE99件、全死亡49件)が観察された。主要評価項目、全死亡、心不全による入院、FVAEの10年推定イベント発生率は、それぞれ48.1、18.0、21.1、31.9%であった。多変量Cox回帰では、心室頻拍(VT)または細動の既往、BNP値、LVE F、VTアブレーションが主要エンドポイントの独立した予測因子と示された。結論としてCSでは死亡率は比較的低いが、有害事象は多く、主にFVAEに起因する。LVEFが低い、BNP値が高い、VT/VF歴、VT治療のためにアブレーションを必要とする患者は高リスクであることが示された。

発表後は、以下のようなポイントで議論が行われた。
・ステロイドの使用が本研究でどう影響したのか
・壁菲薄化が本研究で取り扱われたか
・AFの関与に関して
・サルコイドーシス自体の病態について
・ステロイドの有効性に関して

発表 多胡先生、 文責 吉岡

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